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                                                            一穂ミチ先生の小説を、BL・一般と読み漁り中。
人気シリーズもそれぞれが納得の面白さだけれど、それ以外の作品もテーマが興味深くて、何かしら胸に響いてくる。
毎回毎回心の中の違う場所を、冷んやりとした濁りのないもので打ちつけられている。痛くてその分、心が動く。
小さい頃は目が見えなかった編集者の数真と、ある事情を抱えたCGオペレーター縁(ユカリ)のお話。
タイトルに込められた意味に思考をめぐらせ、当たり前が当たり前じゃないふたりの縁(えん)に、運命を見る。
叔父の訓(さとし)さんが素敵な人だった。
野球観戦の時に見た広大な青空の解放感と、人魚姫の絵本が後からじわじわと効いてくる。序盤の女性関係に一瞬違和感を感じたけれど、縁を知る上で必要なエピソードだったかもと思ったり。
当たり前だと思っていること自体について、考えさせられるお話でした。
BLとしてよりも、ふたりが置かれた人生に惹かれた作品。