ヒロイン(公爵令嬢エルフリーナ)は余命1年と宣告されます。その原因は、婚約者である王太子の求めに応じて、不死軍団を実現する為、治癒魔法を酷使し、自身の生命維持すら出来なくなったから。
母国に勝利をもたらしましたが、余命1年と知った王太子から婚約破棄される羽目に。何のねぎらいもなく「可愛げがない」と捨て台詞まで浴びせられます。もともと生真面目で貴族の義務に忠実なヒロインですが、恋もせず、愛も知らず、処女のままひとりで死ぬのは嫌だと、放蕩な弟の意見に従い行動します。
それは別荘に逆ハーレムを築くというもの。相手はやむを得ず恋人役として奴隷を買います。それぞれタイプの違う4人の男性達と、愛は無理でも、快楽は得られる計画です。
元敵国の捕虜「大佐」、異国の異教徒「王子」、文官っぽい「閣下」、ワンコ系の「ミケ」。そもそもお硬い貞淑観念のヒロインには、性格的にも合わない行動ですが、切羽詰まった事情の為、無理を通します。
ヒロインは自分の抱えた事情を恋人達に説明しません。そのせいもあって男性陣からの内心の評価は、良くありません。富にものを言わせた、傲慢で好色な、わがまま令嬢といったところです。事情を知る読者としては切ない。かりそめの関係でも、大切にされて、疑似恋愛であっても生きている喜びを知ってもらいたい。
恋人役の4人は、ある意味くせ者揃い、それぞれ訳ありそうです。ヒロインとの情事もありますが、それが愛あるものになってもらいたい。不憫なヒロインが、悲しい結末を迎えないで済むように願ってしまいます。