仕事で心が疲弊し、家がゴミ屋敷になってしまった男が、同じアパートの階下の住人と一緒に部屋を片付けるうちに、少しずつ元気を取り戻していくお話。
きちんとしていた人が家をゴミ屋敷にしてしまうのは、片付ける気力すら湧かないという心の疲れです。鎌倉さんが心の限界を迎えてしまったことが過去の様子から伝わります。そして、それを偶然見つけ、一緒に片付けることを提案した荒井くん。彼は、弟への後悔と懺悔の気持ちの一環として同じ状況の鎌倉さんを助けることで、自らを省みようとします。
このお話を読んで思ったのは、鎌倉さんも荒井くんも、ある意味他人同士だったからこそお互いに助け合えたのではないかということ。ゴミ屋敷にする前のちゃんとした鎌倉さんを荒井くんは知らないからこそ、鎌倉さんも肩肘張らずに向き合えたし、荒井くんも引きこもっていたのが身近な家族ではなく、他人の鎌倉さんだからこそ気遣いながら片付けを手伝えた。ある種の距離感が、二人にはちょうど良かったのかなと思いました。
エロいおもちゃを見つけたことで意識するようになりますが、とにかく二人が部屋を片付けるように心も整理していく様子が何だかスッキリする展開で、心惹かれるのも納得でした。幸せそうな二人にホッとする作品です。