草食動物と肉食動物がともに生きる世界。肉食は禁忌とされている。けれど、肉食動物の体は本来肉を食べるように作られている。薬を飲んで制限したり、法律で縛って理性を保つように強いたところで本能には抗えない。喰うものと喰われるものという立場を対等にするため、強い立場の捕食者は爪をかくし牙をかくし人当たりよく生きていかねばならない。弱い立場の被食者は喰われる傷つけられる恐怖に身の毛を逆立てながら精一杯の口撃をするし人格否定も平然と行う。どちらに生まれついても、どちらに生まれつかなくても辛い世界であるなと思う。喰う喰われるの垣根を越えた関係を築くのははなから無理なのでは。人間社会の男女だって本当の意味で分かり合うことなんて難しい。ましてや人種や風習をすべて理解し受け止めることなんてできやしない。でも話し合うことはできる。それが大切なのだと、熱いメッセージを受け取った漫画でした。