高校時代に弟に同級生とのキスを見られ罪悪感から疎遠になってしまった相手と、偶然再会をして初恋をやり直すお話。
このお話、タイトルがとにかく秀逸で、作品の良さ全てを表現しています。高校生の時のまだ未熟な感情と、初恋の青さ、親にも言えない罪悪感、忙しい親に変わり面倒を見ていた責任感などで、苦い思い出にしてしまった初恋が、時が経ち環境や状況が変わった今になってぶつかってくる。それに自分がどう感じ、どう立ち向かうのか。周りの成長と共に自分の未熟さや未練などが浮き彫りになる様を良く表現していると思います。
ストーリー全体にある少し重苦しい雰囲気と絵の雰囲気があっていてより世界観に入り込めました。意外にも弟の南くんの無邪気さや逞しさがこのお話のストーリーを軽くしてくれているような気がします。小さい頃にキスを見てショックを受けたことを考えると、兄のように繊細な一面もあると思うのですが、兄にたくさん愛され守られて強くなって良かったなと思いました。
それにしても家ちゃんは無垢で純粋培養された感じがすごいです。あんなにウブな大人がいるのかと疑いたくなるし、そんな家ちゃんが素直にぶつかって甘えてくれるようになったら嵯峨はたまらないだろうなぁと思いました。二人が幸せになってくれて良かったです。