ゆうづつは藍にとける
」のレビュー

ゆうづつは藍にとける

青井秋

しっとりと、美しい

ネタバレ
2025年10月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 静かで物悲しくて、繊細な作品。
美しい絵と美しい言葉が創る美しい世界を、宝石の内包物をじっと覗きこむ時のような感覚で読む。
少し肌寒い静かな雨の日の読書に、なんてジャストな作品かしらと、味わう贅沢。

恩師の家で下宿する駆け出し作家と書生のお話。
大事な友人への憧れが崩されることを恐れた過去の慎太郎。多くを語らない慎太郎は、どこか人を惹きつけ狂わせる。
人懐こさと繊細さを持ち合わせた章吾は、そんな彼にぴったりなわんこ。
言葉で紡がれ、形にならない言葉が溢れる。

とても美しかった。
あとがきから見返す表紙も素晴らしい。

生身の身体から漏れ出た感情、想い、魂。そんなようなものに触れられる青井先生の作品は素晴らしく好み。
まだまだ知らない良作が沢山あるかと思うと、とても嬉しい。
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