佐条利人の父とその部下
」のレビュー

佐条利人の父とその部下

中村明日美子

あの利人パパが。2巻追記

ネタバレ
2025年12月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 正直、タイトル見たときから、ソワソワしっぱなしだったんです。
 だって、あのBL界の眼鏡っ子男子のレジェンド利人の父で、無茶苦茶昭和脳でノンデリ発言をかましてしまう利人パパが、その部下とどうなっちゃうのか、想像がつかなくて。
 果たして、自分が感情移入するのは、親世代の利人パパなのか、その部下くんなのか、これいかに…
【以下、ネタバレ】
 自分の子どもって、自分とは別の人格なのに、無意識に自分と同質の存在だと親は思いがちなもの。
 お母さんの病室で、利人と光に対面したパパが放った言葉は、ノンデリの極みだったと思う(本作でも再現されてます)。
 ただ、あれは昭和の価値観で生きてきたパパの咄嗟の反応だったのかなと。
 本作では、そんなパパが、利人の言葉をぐるぐる反芻しながら、自分の中の価値観の転換と闘う姿が描かれています。

 そんなパパと出会う部下、寿一。ちょうど利人と同じ年くらいの部下に、自分もゲイだと告白されてからの2人の関係性の変化がもーう面白い。
 始めこそ、ノンデリ発言かましているパパにハラハラしながら感情移入して読んでいたのだけど、部下の寿一視点に切り替わったときに、そのノンデリ発言を詫び、人として真摯に向かい合う姿が、ずっと差別されて傷ついてきた寿一にぐっさり刺さるんだ、と気付かされて。
 それから後のパパの行動が、予想のはるか斜め上を行っちゃってて、今度はすっかり寿一に感情移入…
 しょ、昭和世代って、性的な手ほどきを親戚同士でするもんなんでしょうか?自分よりちょい上世代の男性の習わしを知らないがゆえに、パパの行動が読めなくて、寿一と一緒に動揺しまくっちょりました…。
 息子に近い寿一をほっとけない気持ちでしていることが、こんなにイケメンのゲイ男子を揺さぶるのね…
【2巻】中村先生は、利人と光の存在が周りに与えた影響を書きたかったのかな。とりわけ男性社会(ホモソサエティ)の中で生きてきた父親との関係作りは実際難しいそうで。終盤、パパが「受け入れる」のではなく価値観をアップデートして利人と素直に詫びを入れられるようになったシーンは、パパ、利人、読者皆が心が軽く温かくなる名シーン🌟思わず涙😢そして、お互いの間に壁を作らずに心を通わせられるパパの存在が、どれだけ寿一の救いになったことか。後書きに当事者の方からの指摘を掲載した先生の誠実さにもしみじみ。
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