誘蛾灯に焦がれる
」のレビュー

誘蛾灯に焦がれる

塩味ちる

温めあう素敵な恋でした。

ネタバレ
2026年8月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊即買い作家様のお一人。
まずタイトルの情緒が良い。
暗闇の中、そこだけが温かいかのように灯る光。
焦がれてしまう想いが既にこぼれているじゃないですか。
そして表紙を見ると美しく灯る長い髪のヒト。
色っぽい…艶っぽいお話しか?
期待値マックス。

でもねでもね。
読了後の一番の感想は。
”年下彼氏の可愛いところが全部詰まってんじゃないか…”
でした。
拓海の一途に想いを向けていた姿も、穏やかで優しい目線も、飾ることのない言葉も全てが愛おしい。
そして私の中で多分一番うぶい筆おろし。
こんな…こんな可愛い子、もう絶対に離せない離さない離れない逃がさない。
だと思うよ、恵一朗の中は。

世の中は煩雑に”ふつう”が横行していて、目にも耳にも飛び込んでくる。
日常に散りばめられた煩わしさは少しずつ心を侵食して臆病になってしまう。
恵一朗の孤独と寂しさは、乾いて飢えて恋と言う誘蛾灯に引き寄せられていたのかもしれない。
そして、焦がれるばかりに恵一朗自身が誘蛾灯のように怪しく温かく灯っていたのではないか。
少年の夜は長い。
世の中に一人漂う落ち葉のように心細く寂しい夜を、拓海にとってただ一つの灯として温め慰め癒したのでしょう。

恵一朗の少年拓海に向ける無意識の想いに答えは出てはいませんが、唯一温かい存在だったのでしょう。
そしていつしか喫煙所での逢瀬は心の均衡を保つ砦だったのかもしれません。
横柄に部屋で煙草を吸う彼氏より、吸いもしない煙草をもって拓海を待つ。
寂しいね…切ない。

静かな夜が漂う作品でした。
そして、先生の作品はモリッと筋肉が一つの見どころであると思います。
ご満足いただけると思います。
それから重ねて申し上げますが、本作品はうぶさを堪能していただきたい。
今までの先生の作品はどちらかというと受けの可愛さが際立っていたと思っているのですが、本作は間違いなく攻めの可愛さです。
うぶさの中にも優しさや労りがあり...可愛さ100万点でした。

【追記】
フォロー様方のレビューを拝見し「あ~そうかそうだわ!」と納得した部分が沢山ございました。
感謝!
『誘蛾灯』近づいたら焼き焦がれてしまうのですよね。
先生上手いなぁ。
つくづく素晴らしい作品でした。

**270ページ**
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