良家の御曹司の坊っちゃんがオーダーメイドスーツ店のテーラーに長年の片想いをぶつけ、振り向いてもらうまでの恋のお話。
いきなり100%本気の告白から始まり、それを軽くかわす片山。物語の主軸が最初に示され、最後までその姿勢が貫かれます。7歳からの片想いは半端なく真剣で、曇りなき眼でストレートに気持ちを伝えてくる秀一郎には、坊っちゃんらしい品の良さと若者らしい清々しさがあり、読んでいてとても心地良く感じられました。
体だけと言いながら常に受け入れてくれる片山。彼の気持ちは最後まで言葉としては出てきませんが、小さい頃からの好意に気付き告白を待っていたのは片山だったのかななんて思ったりもしました。受け入れるという行為は彼の真摯な答えなのかもしれません。
離れた時間も全てが秀一郎にとって大人になる過程かのようにどんどんと成長していく姿は、当初のワンコ姿からは想像出来ない程立派になったと思います。片山には最後くらいデレて欲しかったですが、それも二人ならではなのかなと思います。とても品の良いお話でした。