Qの婚姻
」のレビュー

Qの婚姻

小石川あお

絵本のようで小説のようで映画のような作品

ネタバレ
2025年5月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読了後、宙を見上げてしばらく余韻に浸ってしまった。。。
まるで絵本を読んでいるかのようなあたたかさ。小説を読んでいるかのように想像力を掻き立てるファンタジーの世界観。漫画でこそ表現できるキャラクターの細かな表情とその感情。映画を一本見たかのような満足感と充足感と幸福感を感じる物語でした。
小石川あお先生のやさしく切なく可愛く愛おしいストーリーに、今回も思いっきり惹き込まれて泣かされました。あぁ………泣き過ぎて眉間が痛い。
*ネタバレなしがオススメなので、以下未読の方はご注意ください。↓↓↓

勇者はどこまでも勇者でした。一片の曇りもなく魔王を愛し、民にも仲間にも自分の心にも恥じぬ生き方を貫きました。愛と贖罪の人生でした。
魔王はどこまでも可愛かった……。素直じゃないところもうぶなところも慈愛に満ちたところも言動も姿も全部可愛かった。おそらく魔王となったずっと初期の頃から、勇者の本質に気付き、愛していたのでしょう。魔王になってからも、その本質はずっと精霊のままでした。
脇を固める魔王軍もめちゃくちゃ良い味出してました。折々でナイスアシスト。私もこの世界観なら、壁じゃなくて彼らの仲間として一緒に勇者と魔王の恋路を見守りたいわ。(ガン見)

ラストは数百年の時を経て、精霊として二人生まれ変わった…という解釈で良いのでしょうか。多くの説明はなくとも、(元)魔王と勇者が仲睦まじく暮らし、元魔王軍や勇者の仲間の子孫達が仲良く平和に過ごしていることが温かな描写から伝わり、すごく幸せな気持ちになりました。
涙と鼻水を流しきり、ただれたBL脳がデトックスされた気分。幸せの余韻でずっと心が温かく、さながら天日干しされたかのような読後感でした。
BL的なシーンはキスまで。BLというジャンルにとらわれるのは勿体無いです。BLを愛する全ての民のみならず、ファンタジーが好きな全ての民にお勧めしたい、神作品でした。
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