昨日、君が死んだ。
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昨日、君が死んだ。

ARUKU

星5じゃ足りません…!

ネタバレ
2025年10月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様買い。とてもショッキングなタイトル、というのが第一印象でした。
舞台は終末後の世界です。死んでしまった想い人・護堂。その人型を、ある者から与えられた魔法のミシンで見事に縫い上げた仕立屋・羽繕。命を吹き込まれたように動き会話する“ゴドー”とともに、その“たましい”を探す旅に出発します。

これはもう上手く文章をまとめるのが難しいほど素晴らしい作品でした。
基本旅をしていく物語なので、毎度毎度異なった地を訪れ、異なったキャラたちに出会っていく。
その引き出しのあまりの多さ!まずそこに驚かされました。凡人の私などには到底思い付かないような斬新&奇抜な設定、可愛くて格好良くて不気味でもあるキャラデザ…。1話読み終わるたび、次はどんなテイストのお話が来るのかなと楽しみでもあり。

私は悪魔の夕塵がお気に入りだったので、一回きりのゲストキャラでは勿体ない、また登場して欲しいと思っていたところ…。その後もたびたび顔が見られるとは!
また軍服大好きでもある私、美しい天使軍と妖艶な悪魔軍がどちらも素敵すぎて目移りしてしまいました。

絵本や童話のようなタッチでありながら、一皮剥けばダークでとんでもないエグさも併せ持つ。一筋縄ではいかない、どこまでも壮大でファンタジックな世界観。
終末後ということで、やはり全体を通して“死”というものが描かれていきます。“たくさんの死”です。そんな中でも、ただ切なく悲しいだけではないのが本作。
羽繕が魔法のミシンを駆使し“縫う”ことで、大切な人との再会や新たな出会いさえ生まれていく。暗闇の中に一筋の光がスッと差し込むような、ささやかな希望を感じられる内容になっています。

ぜひ多くの方の目に留まって欲しい作品の一つ。前述の通り、私の拙い文章ではこの作品の良さを十分に伝えられないのがもどかしいです。
未読の方は、どうか他のレビュアー様方の巧みなレビューをご覧になっていただきたい…!そしてこの作品を手に取る方がもっともっと増えていって欲しいと思っております。
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