レビュー
今月(6月1日~6月30日)
レビュー数3件
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シーモア島


投稿レビュー
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ストーリー・作画、それぞれさすが2025年6月6日「笑いを届けたい特別な人」がいる高校生二人が、お笑いの「天頂」をめざす物語。
お笑いのネタは考えるだけでも大変そうなのに、「あがり症の初舞台であまり台詞言えない」、「急にネタを変えることになって小道具が限られる」「特徴あるコンビがさらにネタ工夫してくる」「ライバルをつぶす作戦」など、ハラハラするストーリーの縛りがかかった上で面白いところがすごい。
そしてその面白い間や動きや表情が、漫画で見事に表現されているのもすごい。それぞれがさすが!
理屈は時々挟まれるけれど、お笑いだけに『バクマン。』より振り切り感、疾走感があるかもしれません。
舞台の時だけではなく、ふだんのやりとりまでコント。思い切り笑いたい!時にオススメです。いいね
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やられた!2025年6月4日表紙とタイトル、あらすじを見て、あーヤンキー君と純粋君が出会って宇宙飛行士めざそうみたいな?天体や宇宙って青春の夢にうってつけのツールだし?みたいな感じで読み始めたとたん、ガツンとやられました。
宇宙って、そういう意味か!1巻無料に感謝。
身内の「普通が難しい」に向き合ってきたので、本人は勿論、見守る家族の気持ちも身につまされます。
ヤンキー小林君がすごいのは、恥ずかしい、悔しいという気持ちから逃げずに宇野君から学ぼうとしたこと。
自分のことをバカだと言っているけど自分の出来なさを認めるのは大人だって難しいよ!君はデキる子だよ!と声を大にして言いたくなります。
しかも、どうすれば伝わるのか、問題を解決できるのか考える労力を惜しまず、ものすごく丁寧に言葉を紡ぐ。それは宇野君のお姉さんやバイト先の上司など、周りの登場人物にも共通していて、それがあるから事態が良い方に進んでいく面もある(幼なじみの朔も、ちゃんと言葉にして伝え合うから単に無理解な登場人物ではなくなっている)。
普通はそこまで労力をかけて通じあおうとはしないので、小林君が危ないバイトに誘われたように世間から弾かれていく『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口幸治/鈴木マサカズ)のような現実も一方にはあるわけで。
それでもこんなふうに人と人が関わりあえれば、特段ドラマチックではない学校生活や日常の中でも、1巻で星を教えてもらった小林君が空の点が点ではないと知った世界、4巻で組体操に挑戦した宇野君の高い視点から見えた世界、宇宙を一緒に歩く二人の世界がこんなにも広がっていくんだ!と、読む方にも新しい視界を開いてくれる作品です。 -
便利なだけがロボットじゃない2023年7月26日昔、コミックスの時に読んでいました。
丸いフォルムの癒しロボットが現実にたくさん販売されている今の状況をみると、まるいちはその先駆け的な存在だったかもしれない。本来は癒し目的ではなく家事でもなんでもしてくれるけれど、「トレース型」なので持ち主が実際にやってみせて登録しなければいけない。実際に使うにはたぶん不便。でも、この「持ち主をトレース」がポイント。無表情で言葉も発しないまるいちと人が寄りそいあう、とても優しい物語。
〈追記〉電子書籍を読んでみて。文庫化にあたって追加されたエピソードが1、2巻と盛り沢山で、本来なら嬉しいはずが、少しゴチャゴチャしてしまった印象。この作家さんの少女誌掲載の頃の絵柄と物語が好きだったので、青年誌作品(中学生と成人の恋愛とか)の雰囲気が入ってしまったのは残念。まるいちは昔の素朴な世界そのままにしておいてほしかったな、というのが正直な感想。いいね
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疲れたときの癒しに2023年7月25日タヌキの癒し系漫画を見て思い出したのですが、これもまた、疲れた時や元気が出ない時に読みたくなる作品。それこそ、作中の登場人物たちが「たまこ定食」に集まったり、ふらりと立ち寄るように。珠子さんが手を握って読み取り、その人に合わせて作ってくれるお料理が本当に、お腹と心に染みわたりそう。究極の一品は時々「忘れていたお母さんの味」だったりするのがまた切ない。レシピが載っているから自分用にも作れるけど、やっぱり「誰かが自分のことを思って」作ってくれるのが染みるんだと思う。懐かしい感じのする絵柄もあいまって、ノスタルジーを感じる癒し漫画です。
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タヌキじゃなきゃ2023年7月25日なんだか某鬼退治漫画の鬼みたいなこと言ってるな、と無料になっている1巻を何気なく読んだら、ホントにタヌキが人間をスカウトしてた(笑)
最初は話も絵もよくある感じかな、とサクサク読んでいたけれど、お母さんに抱っこされたい女の子やいじめ・いじめられる女子二人の話辺りから、なるほどこれは化けられ、化けさせられるタヌキじゃなきゃね、と。
私にも術がかかったか、こがね丸さんがイケメン(イケタヌキ)に見えてきました😄毎回、いったん話が終わって、ちょっぴりつけ加えられる後日譚的なおまけにほっこり。5巻で、登場人物たちのその後がさりげなく見られて嬉しい。
何も考えたくない!癒されたい!と登場人物たちのような気分の時にピッタリだとは思いますが値段がお高めなので、割引の時に買うかも(今か!) -
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まっさらな状態で読むことをオススメ2023年7月20日ネットで途中まで紹介された記事を見て、続きが気になりこちらで購入。
子育ては、まっさらな子どもによくも悪くも一つひとつ感情の名前を教えていくことなんだなあと実感。
読む方も、ジブリの新作がとった「ス○ムダンク方式」の如く、できれば予備知識なしのまっさらな状態で読むことをオススメします。それぞれに受けとれるものがあると思います。
ただ、ヒューマンドラマと思って読んでいたらあっと驚く…という展開は三浦しをんさん原作のコミック「むかしのはなし」(2016年)が衝撃的で絵にも圧倒された体験が既にあったのと、設定がサラリとしすぎて、家庭は家族の健康や経済状態、夫婦の関係や子どもの成長、親になってからの葛藤など変化がつきもので、それが悲劇の引き金になることも多いのに、子どもが生まれた後のチェックやサポートなく「子どもの幸せ」が実現できるのかとか(これから子どもを持ちたい人のみ審査対象だから下巻の話が成り立っている?)…諸々、物語世界の根幹にも関わらず微妙な設定で、メインテーマのためにその辺りは目を瞑って読む感じなので、私の場合は少し浸りきれずこの評価でした。 -
箏を知らなくても伝わる音の表現がすごい2023年6月24日廃部寸前の部を立て直して仲間を増やし、全国一位をめざす!と少年漫画には王道のストーリーですが、部活は箏曲部で、最初に入ってきたのは警察沙汰の事件を起こしたと噂の不良(しかも物理的に、飛び蹴りで)。ワケありの家元のお嬢様や全く音楽を知らないヤンチャ仲間やギャル、彼らに胃を痛めるメガネ部長と、最初はバラバラだった面子がスポーツもののようにどんどん高みをめざしていくのがザ・青春!で涙なしには読めません。
あらゆる登場人物一人ひとりの背景が時に家族も含めて丁寧に描かれていて、それぞれの傷や鬱屈や後悔が、「つなぐ楽器」、箏を通じて浄化されていく。
綺麗な絵で、圧巻は「音」の表現。クラシックとかポピュラーなジャンルなら曲名である程度雰囲気がわかるけど、箏の音色って??
ですが、どんな曲かどんな演奏か、見事に伝わってきます!天才の異次元の演奏から、下手だったり失敗してしまった時の音、練習で合奏がハマった時の爽快感、ライバルの他校が何に重きをおいた演奏をしているのかまで(個人的には7巻、永大附属の超高速・阿吽の呼吸の演奏表現がツボ(笑)。最新刊28巻にも登場してます、ガンバレ✊)
作者ご自身経験者で、プロの演奏家であるお母様やお姉様が作中のオリジナル曲を現実に作曲、手や柱(じ)の位置まで忠実に描写されていると知って納得です(アニメやCD、公式HPで曲を聴くとさらに感動します)
恋愛面もキュンキュンするので、ぜひ。 -
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何回も読み返してしまう素敵な作品2023年6月22日大好きで何回も読んでしまいます!
「嘘」を軸に人の心と向き合うストーリーがしっかりしている上に、生まれついての特殊能力で嘘が聞こえてしまう少女と、優れすぎた観察力で嘘を見抜いてしまう探偵の青年、それぞれ自分の能力ゆえに生き辛かった二人が、協力しながら絆を強め、互いにかけがえのない存在になっていく。
…と書くとすごい感動ストーリーだけど探偵左右馬先生はいい感じにダメダメだし鹿乃子ちゃんは素直だし、周りの人たちも温かくて、笑えてホッコリします。
そして絵が秀逸、人物や背景はもちろん陶器や着物の上質なものは美しく、美味しい食べ物は本当に美味しそう(自称町の名物、つくも焼きさえも(笑))。
その綺麗な絵の中にさらりと、キーになる場面も描かれていて後で納得、ミステリー漫画の醍醐味。いろいろな意味で何回も読み返してしまう作品です。