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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 恋は地表マイナス2メートル

    今井ささる

    激推し。独自のリアリティある表現が見事。
    2021年7月4日
    大学の考古学ゼミが舞台です。今井ささる先生のBLにはどこか痛みがあるように感じて惹かれます。仕事、考古学、音楽...などがカップルの関係に少なくない媒介をしているのもツボです。本作の「未決BOX」や夢の、独自のリアリティがある表現が見事だと思いました(マンガが上手い)。
    『社畜が恋をしてみたら』の、村上キャンプ先生による帯(奇跡のようなパスと言うのでしょうか)も必見。今井先生の作品は、BLマンガを愛する方に絶対におすすめしたいです。
  • 夜が終わるまで

    西田ヒガシ

    稀有なBLの到達点。後からジワジワよさが。
    2021年4月5日
    西田ヒガシ先生の作風のノワールの気配が染み出すようにありつつ雨や水の雰囲気が印象的。失踪した弁護士影山を見出そうとすることと検事日浦の夢や幻影的なものが色濃く繋がっていくのが渋い。本当に大人っぽい。稀有なBLの到達点。近年のややファンタジーが入った世界観を表す西田先生の漫画言語は、ますます凄みが増しているように感じる(『ロマンティック』も読まれたし!)。日浦がパンをむぐむぐ食べるところがめっちゃ好きです。
  • さんかく窓の外側は夜

    ヤマシタトモコ

    最強にクール&ホットな心霊バディ/群像劇
    2021年3月14日
    除霊師の冷川と、霊が視える助手の三角が共同で霊を退治する際、気持ちよさを伴う互いの「魂の触れ合い」が生じる。心霊系のアドバイスも行う「観察力」のある占い師の迎や、霊を信じない刑事半澤なども登場。この世のあちら側とこちら側のあわいで「信じてることを本当にする力」をめぐる物語。熱い。

    そして、心霊を介したやりとりとBL(的な愛)を掛け合わせて様々な関係を深く描く群像劇でもある。霊視者と除霊者、母と子、夫婦、父と子、刑事と事件の被保護者、宗教団体の先生と信者、死霊遣いの女子高生とその従者(元ヤクザ)の関係など……。絶妙にリアル。なんてクールな漫画なんだ!

    つまり最強にクール&ホットな作品です。必読!
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  • こちらから入れましょうか?…アレを

    松田環

    神作品、夫婦におけるリバの可能性の探求?
    2020年12月20日
    セッ クスレスになった夫婦に妻の元彼が介入してくる。ぎりぎりありそうな展開に、私はこんな作品を待っていた!と心の中でガッツポーズを決めました。夫の敦のセッ クスに対する抑圧、解放されなさはやや類型的に描かれているように思います。コメディではありますがどちらかと言えばエロではなく、非常にまじめな性をめぐる思いが交錯する切ないお話に読めました。夫婦におけるBLでいうところのリバの可能性が探求されている?性の対等を考えるにあたり素晴らしい作品。もっと言えば、「BL展開」は妻の元彼 加持×夫 敦ではなく、妻 優×敦の間でこそより起こってほしいような(現在、2巻が刊行)。
  • タケトコタトアオト 【電子限定特典付き】

    akabeko

    幸せな家族のかたち、愛に溢れたカップル
    2020年12月20日
    akabeko先生の作品の中で、『蝶と花の関係性』を抜いて『タケトコタトアオト』が現時点で一番好きな作品になりました。嫁に逃げられた元ヤン・タケトとその小さい息子コタ(タケル)、そして保育士のアオトとタケトの母(ババァ様)という幸せな家族のかたちにほぼ最初から最後まで涙が止まらず。先生の作品は物語の閉じ方がきれいすぎるように感じる部分がありますが(『四人のにびいろ』など)、この作品ではそのフィクション性を希望として受け取りたいと強く思います。アオトとタケトの愛に溢れた関係も泣けてきます。akabeko先生が描く、ブルーカラー系の受けのかわいさが健在です。そして私にとっては、新しい作品なのにどこか懐かしい雰囲気を感じて癒される、先生の作品が大好きです。
  • スニップ,スネイル&ドッグテイル

    ヤマシタトモコ

    生活と感情、想起とポエジー
    2020年10月31日
    翻訳家でまじめ男の峰とバス運転手で彼女持ちの安城が急に仲良くなり、半同棲関係になるまでの8か月の出来事が、日記形式でシャッフルして描かれています。エピソードの長さはまちまち。コンソメとかえりあしとかオレガノ、メシの準備……日常の風景が並置され、リズムを作り出しています。リニアな時間から開放されたエピソードが空間的にモンタージュ、配置されることでその隙間に余白が想像され、詩情が漂います。生活とともにある感情の動きをくっきりと写しとる表現が見事としか言いようがない。
    この行ったり来たりの想起の視点が入るとなぜ泣けてきてしまうのだろう。『恋の話がしたい』(2008)でも「おまえ喫茶店で絶対カフェオレ」のところでホロリとしてしまう。

    余談ですが、著者がポケットマネーで作ったという『さんかく窓の外側は夜』グッズのいかにもなダサ・クリアファイルがイカス!
  • 天国 in the HELL【電子限定描き下ろし付き】

    虫歯

    希望に満ちたBLのニューウェイヴ
    2020年10月31日
    虫歯先生についてレビューしないわけにはいきますまい。たなと先生が虫歯先生のファンだと知ったのをきっかけに『不死身の命日』を読んだのが最初でした。アートスペースと雑貨屋経営、インディーズCDレーベルのプロデュース業をするユタカが、その傍ら行う出張ホストで出会った強面のツカサは、実は見習い中のサキュバス。そのツカサをプロデュースすることをユタカが持ちかけて……という荒唐無稽な展開やサキュバスという設定から繰り出される心憎い演出や小道具(?)の数々が、ずっと地上から浮いているような浮遊感をともなって浴びせられ続けます。この軽さ。と萌えの両立が絶妙なバランスを生んでいます。『ちるちる』サイトにも書かれていますが、3Dを撮影したこだわりの表紙といい、本文中にいらすとやのフリー素材を放り込むなどセンスに溢れたレジェンド的1冊。
  • 【電子限定】彼とオバケと恋愛小説家

    西田ヒガシ

    呪呪呪━━センスの塊・純度高い原液マンガ
    2020年10月29日
    一度見たら忘れられない表紙を描く西田ヒガシ(旧:西田東)先生ですが、この作品も然り(願い叶えたまえ、見つめていたい、やさしいあなた…口絵に次ぐマイランキング上位に食い込みました)。可愛い恋が書けなくなった小説家に取り憑いたオバケ、そのオバケが見える配達員が織りなすお話。西田作品の笑いのセンスと純愛な感じの落差や、展開の圧縮度、ライフとラブのあいだにある男同士の交感の在り様に圧倒されてきましたが、2話目にしてすでにその独特の空気感に浸れます。取り憑いた人間に気づかれないポルターガイストとか最高か。純度の高い原液のようなマンガをありがとうございます。
  • 媚の凶刃

    池玲文

    攻めてる表現(二重の意味で)が...
    2020年10月19日
    『媚の凶刃〜X side'〜』(R18版あり)の加賦さんに奉仕する韮沢の愛と加賦さんの反応(変容?)に感動することしきり。関係のダイナミズム極まれり。二村ヒトシ・金田淳子・岡田育『オトコのカラダはキモチいい』(角川文庫、2017)で知りました(「攻めが攻めのまま、受けによって乳首を愛撫されるシチュエーションがまた飛び出しました」[金田]と書かれています)。池玲文先生の笑いのセンスが炸裂している『8人の戦士』も必読の書。
  • 願い叶えたまえ

    西田東

    クリティカルヒットな作品
    2020年10月18日
    いままで出会ったことのないような作品に衝撃を受け、すっかり魅了されてしまいました。一見無骨で乾いた絵柄とユーモア。けれども、二人の男のピアノを介した関係はこの上なく優しくロマンチックでもあり。ヤクザの男、深見のセクシュアリティへの意識も含めた生き方を大きく揺り動かす物語でもあります。そして圧縮された展開(にもかかわらず3巻もある)をさらにドライブさせるアクション表現が光ります。

    クリティカルヒットと言ったのは、この作品の威力を表すのに、致命的な一撃であるとともに、批評的なという意味も込めたいからです。BLへの批評にもなっているのでは?と思える稀有な作風。絵柄(最高)も含めてどこか覚めているようで、また、深見の自己破壊的な傾向からヒリヒリした描写も多いですが、限りなく切なく優しい。その落差にグッときます。なんて高級なんだ。

    よしながふみ×三浦しをん対談(『あのひととここだけのおしゃべり』(2007)収録)で知った作品ですが、西田東(西田ヒガシ)先生には熱烈なファンが多いというのも頷けます。『青春の病は』に脇役工藤の短編「天国が見える」前・後編が収録。
  • ハッピークソライフ 【電子限定特典付き】

    はらだ

    BLの醍醐味、Wネコ。パンクな珠玉の一作。
    ネタバレ
    2020年8月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 変態性が笑いに振り切ったラディカルな作品。無職の葛谷と左遷された元エリートの粕谷はともにネコ希望のお隣さん同士。ノンケ(自称)でAF好きな二人はジャンケンで負けた方がタチ役をする関係に(つまりリバ)。この(マッチョではない)可塑性を支持したい! 中学生時代からの因縁があるレオ×葛谷の力関係に比べて、葛谷と粕谷は対等に思える。1巻ではエロが全面化して見えたけれども、今後ラブがどう描かれるかも気になる。舞台となる、とある地方の閉じたローカル感も寓話性を高め、独自のファンタジーみを出している。

    はらだ先生のデビューコミックスの表題作品「変愛」(のちに『やじるし』『ポジ』に続編が収録)で、シチュエーションフェチの受けがこう語る場面がある。「傍から見りゃアホでむちゃくちゃなセッ○スこそ俺たち特有の愛し合い方ってことでいいじゃん/何も無理に常人のマネゴトしなくったっていいさ」。この確信に満ちた言葉に、性癖・欲望の肯定が見事に集約されている気がする。その意味で、HKLは「変愛」に連なる作品かもしれない。切なさ、闇を描いても随一のはらだ先生によるパンクな珠玉の1作。
  • にいちゃん

    はらだ

    一般化できない愛を描く、圧巻の一冊
    ネタバレ
    2020年8月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ショタものでありながらそのカテゴライズに抗するような作品に思えました。また作品紹介にある「禁断愛」という括りにも挑むものであると。社会的に犯罪とみなされる行為が、一般化できない個別の関係を結んでいたのだとするならばそれは異常かを問う、男性同士の大人と子供の性愛が描かれています。非常に際どい。

    はらだ先生の作品には、可愛らしい受けがたびたび登場しますが、ゆいはそれだけではない。ゆいは、にいちゃんを好きな強い思い(ともすれば執着?)を持ちながら行動し大人になっていきます。この作品でのリバ展開には、二人の関係の可変性にBLならではの醍醐味があると、言い知れない深い感動に襲われました(単なる入れ替えではなく物語上の意味がある)。圧倒的な構成力、強弱のある線の魅力にも惹き込まれます。

    描き下ろしの、ゆいの家族に対する態度が思考途中であることにも、にいちゃんとの関係の容易でなさが現れているように思いました。
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  • シャングリラの鳥

    座裏屋蘭丸

    読むリゾート、予兆が醸すエロス
    2020年8月13日
    作者がインタビューで語っているように、これは読む「リゾート」。南国の小島にある娼館が舞台。男娼たちの心身のケアをする擬似愛人役の一人、アポロと男娼フィーは娼館のルール上、恋をしてはいけない。離婚調停中で娼館にきたばかりのアポロ。奔放だが複雑な過去があるフィーはその教育係になる。二人の距離が縮まるか縮まらないかの予兆、気配だけがある全編にエロスが醸成される(現在、単行本1巻が刊行)。過程に尋常ではない官能が宿る。オーナーの美学により、男娼たちの地位が保障されていて、性を謳歌しているのもポイント。
    BLアワード2020のBESTコミックで3位。座裏屋蘭丸先生の完成された世界観の作品を前に、BLというエンターテインメントの奥深さに唸るしかない。
  • ニィーニの森

    SHOOWA

    個別の生を肯定する思想に凄みすら感じる
    2020年8月12日
    SHOOWA先生のセンスが極まっている“人外BLファンタジー”。ある種の理想郷ニィーニの森が舞台の3つの物語+番外編。かわいい、笑える、ロマンチック。多様な(つまり個別の)生を肯定する思想に凄みすら感じる。onBLUE comicsの層の厚さよ。BLアワード2015のベスト異色1位。デザイナー川名潤氏による、この装丁についての貴重なコメント:www.instagram****/p/BxoobXtDqE6(instagramの後はドットコム)。
    このような作品が世に生み出されてあることに勇気づけられる。この作品のような少しのシリアスさもまったくない、ぶっとんでる短編・裏筋太郎秘話「愛と現実の狭間に」(『新装版NON Tea Room』所収)なども大好きです!!
  • Voice or Noise

    円陣闇丸

    スピリチュアルとBLの交差点
    2020年8月12日
    動物の声が聞こえるという、二人だけに特別な共通点を通じて近づいていく振一郎と成澤。スピ的な目に見えないものを感じる能力を共有する設定として、ヤマシタトモコ先生『さんかく窓の外側は夜』(2014-)を思い起こした(この作品ではコンビそれぞれの能力が異なるため、除霊の際、共同作業が発生し、気持ちよさを伴う互いの「魂の触れ合い」が生じる)。中学生の振一郎と大学助教授の成澤の心が通い合い、セクシュアルなこと抜きにひっついてベタベタしている時期(2巻あたり)の名づけられない親密な関係(高河ゆん先生的な?)が、もはやもっともエロいのではないか?と思えてくる。
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  • PERFECT FIT

    たなと

    二人に固有の関係
    2020年8月7日
    たなと先生の作品のなかでも特に気に入っている作品です。大学研究室で真下が田中に出会った瞬間から、この二人の間でしか成り立たない固有の関係がはじまっているように読めました。いつだって恋愛とは個人的で具体的な出来事だったと想起させられます。
    『onBLUE vol.47』での和山やま先生との対談の「こぼれ話」で、たなと先生が(『しるされしアイ』の南とともに)田中を好きなキャラに挙げていましたが、「暗黒面風の格好」といい、本当にいいキャラ。
  • 秋山くん【新装版】

    のばらあいこ

    センチメントが殺られる
    2020年7月25日
    高校1年の素朴なシバ(攻め)の、一つ上の先輩・不良で美人の秋山くん(受け)を愛しすぎるがゆえのギリギリ感。二人の相思相愛ぶりに萌えすぎて胸が苦しい……。1〜3巻を読み、感情・感傷が根こそぎもっていかれそうになりました。度肝抜かれました。番外編の智美シリーズはエロ・ファンタジー強めで、これもまた趣があります。2020年7月現在、進行中のようで続きを読むのが楽しみです。
    和山やま先生が衝撃を受けた作品と、たなと先生との対談(『onBLUE vol.47』)で語っていて知りました。
  • 新庄くんと笹原くん

    腰乃

    泣けるワチャワチャBL
    2020年7月12日
    高校生の新庄くんと笹原くんの関係が恋になるドキュメンタリーのよう。二人の触れ合いに何度読んでもマジで泣けてきます。
    『鮫島くんと笹原くん』を金田淳子評で知り、シリーズということで読みました。
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  • 東京心中

    トウテムポール

    唯一無二のお仕事BL
    ネタバレ
    2020年7月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 仕事×BLマンガとしてヤバ面白い。10年以上続くシリーズとのことです。これも金田淳子さんのお薦め記事を見て読んだ。舞台はテレビ制作会社。後輩・宮坂×先輩・矢野は体格差カップルでもある。仕事の筋は通すが公私混同上等?の宮坂が、変態的に矢野さんフェチを発揮するのが可笑しい。宮坂が初めてディレクターを務めたドラマの感想を、矢野がいたしながら伝えるところは名場面ではないでしょうか?(7巻・8冊目)
  • 同棲ヤンキー赤松セブン【電子単行本】

    SHOOWA/奥嶋ひろまさ

    激シブな衝撃作。“友情以上のモノ”。
    2020年7月10日
    奇跡のタッグに言うことなし。最の高。激シブ。超クール。単行本2巻を読み終え、正座待機あるのみ。金田淳子さんの連載「フェミニスト両手ぶらり旅」を見て読んだ。コミックナタリーでのカチCOMIレーベル誕生1周年記念のSHOOWA先生と雲田はるこ先生との対談で、雲田先生が言うとおり「男子の身体がそのままBLっぽくはないヤンキーマンガの文法で描かれている」。
    作画の奥嶋ひろまさ先生はBLについて「友情が描きたくて不良漫画を描いてた僕は、友情以上のモノを描けるって最高じゃん、自分が描きたいものはこれじゃないか?と思えました。」と質問箱に回答していた。ネームはSHOOWA先生ですが、友情とそれ以上のモノはこの作品にもあるように思う。そのあわいに尊みがマックス。
    赤松が自らゲイをネタにしたようなギャグが爽快でいいな! 裏社会のシリアスさも濃くなっていますが。胸が痛すぎるヤンキーBL。ありがとうございます。
  • 俺しか知らないカラダ【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

    薄井いろは

    言葉で発動する恋がセクシー
    ネタバレ
    2020年7月9日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 優等生で一途な受の石黒が同級生でモテ系の攻の高橋に対して本心・欲を伝えるのが抑えきれなくなり、リミッターを外されていくところに色気あり。それが逢瀬を重ねるごとの関係の変化に現れている。
    基本高橋目線で進行し、石黒目線も交差する。薄井いろは先生の作品の随所に出てくる(『アンダーマイスキン』での「抱きたい」など)誘う意志が明確に示される言葉のドライブ感がよい。電話や携帯メッセージの間接的なやりとりも効いている。
    石黒が身体で感じることに素直なキュートさが表情によく出ている。玄関でシたときはゴムをつけなかったのか?が気になった。
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  • 業務上過失ポルノ[コミックス版]

    長与エリ子

    受けの心が二枚目、同性愛は当たり前
    ネタバレ
    2020年7月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 上司(攻め)・部下(受け)のオフィスラブ。ヘテロのオジサン読者向けの下衆い(保守的な)価値観の週刊誌編集部で働く吉井(受け)はゲイであることをふつうにカミングアウトしている。レンアイ関係でも成熟している育ちのよい青年で、遊んで見えて自分でマイノリティー意識を抑圧してきた土倉(攻め)と対照的。性病検査にも一緒に行く仲になり、お互いを思いやり真面目ゆえに、エロさが高まっている気がする。スーツの下に女性もののデザインの下着やコスプレH、お風呂で……など、潤う要素満載の明るいBLエンターテインメント。
  • REVERSE

    ゆいつ

    男の絆、ムードあるサスペンス
    ネタバレ
    2020年7月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 刑事の浮島と謎の男として登場する真壁が激しくSM的関係を満たし合いつつ、次第に、同志的要素もある男同士の信頼が生まれ、情が通う描写が絶妙だった。多くを語らない展開が小気味よく、ゆいつ先生の作品には、オシャレな雰囲気の読後感があるように思う(『バカな犬ほど愛おしい』なども)。正義漢で筋肉質の浮島が快楽に弱くMで素直なところに受の魅力が凝縮されているような。多くのレビューにあるように、サスペンスとエロの稀有なバランスの作品。
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  • ボーイズラブ!

    松本ミーコハウス

    男の子による究極の3P
    ネタバレ
    2020年7月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 男の子たちの情愛に満ちた3P。「攻守逆転」に何とも言えないエロさ、優しさがあり、読みごたえがあった。悟がセッ クスによってセッ クスを克服するセラピー的な物語にも読めた。ディープな過去や家庭環境をもつ悟と豪に対して、善良な凪というキャラクターがファンタジーすぎるような気もした。が、その紋切型も含めて、この三人でしかありえない関係が成立しているのかも?
  • 美しい野菜

    松本ミーコハウス

    ハードに癒される
    2020年7月4日
    小説家太郎と八百屋・料理人治樹の生活のなかで、特にセッ クスを通して描かれる信頼関係、深いコミュニケーションに癒される。二人の関係性のSMの機微に相当ドキドキする。物理的な行為(ハードなプレイも含めて)とともに表現される精神性にグッとくる。少しだけれど、女性の影が出てくるのもよい。簡素な絵柄に独特の色気がある。今まで読んだBL作品のなかで一番感動したかも。シリーズの『お遊びはそこまで』も素晴らしい。
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