どういう人生を生きたいか、についての価値観が変わりました。「誰かに褒められる人生やお金のある人生でなければならない」「自分の性格はこうでなければならない」などの理想像やある種の強迫観念にがんじがらめになっていた私を優しく抱擁してくれるような優しく暖かい作品でした。レビューという形で言語化すると、私の拙い表現のせいで作品が陳腐で「消費されるもの」になってしまいそうで嫌なのに、この気持ちを忘れたくないから書かざるを得ないという複雑な心境ですが、天使と幸紀、他の登場人物のことを思い出せば、ぐちゃぐちゃなこの感情も丁寧に溶かしてくれる気がします。神様が答えを提示してくれるわけでもなく、人はいろんな感情を抱えてその都度自分で答えを出して、または消化しきれずとも、人や物との関わりの中で前に進んでいくんだなと思いました。またしんどい時に読み直したいです。