いつも人の輪の中心にいる人気者の男と特進クラスの一匹狼の男。名前も知らないけどいつも目が合う対照的な同級生同士が、人気のない屋上に続く階段で出会い、穏やかな時間を共有するうちに大切な存在になっていくお話。
翔太と陽の正反対なタイプの2人が、互いの核となる部分に優しく触れながら心を通わせていく。お互いに過去を知らないからこそ、色眼鏡で見たりすることなく、素直に本音を話したり耳を傾けたり出来る。とてもピュアで真っ直ぐな気持ちが伝わるその関係性が尊いです。内容的にはままある展開ではありますが、過去のことやその時の心情などが丁寧に描かれていて、二人が惹かれ合いながらもゆっくりと進んでいく様子がちゃんと伝わってきました。また、瑞希の存在はとても良かったです。翔太の親友としてだけでなく、陽の友達としても二人の気持ちに寄り添ってくれる重要なキャラだったと思います。
そして、最後に中学の時の陽を傷つけた人が登場。傷つけた側の責任として、簡単に許してもらおうとしないその気持ちに彼なりの成長と誠意を感じました。この描き下ろしは特に良かったです。