妖怪御用達の旅館で働く龍の青年と、その旅館に居候している狐の切ない恋のお話。
獣や妖、神たちが住まうファンタジーな世界観が緻密に表現されているのが見事でした。細かい部分まで設定があり、ストーリーもとても壮大です。お話の世界観が壮大すぎて、話の本筋がどこにあるのか少々分かりづらいのが残念なくらい様々な要素が盛り込まれていました。メインは良夜と黒風の恋のお話だと思いますが、鬼との戦いや絵師との別れ、龍神としての復活など、付随したお話が多く、そのどれもが上手く作り込まれているので、上下巻だけでなく、長編作品として作っても良かったのではと思ったくらいです。
また、良夜の狐姿、黒風の龍の姿、カワウソたちなど、動物たちの描写もとても可愛くて、絵の雰囲気とマッチしてるなと感じました。ちょっと太ってモフモフになった良夜は最高に可愛かったです。