これまでたくさんのフィクション作品で聴覚障がい者と健常者の恋愛を見てきました。
そのいずれも聴覚障がい者は当たり前に手話を使っていて、健常者が手話を覚えてコミュニケーションを取るようになるものばかりでした。
でもこの物語の聴覚障がい者(中途失聴者)である航平は、手話を使わない。
「手話は使わない。ゆっくり喋ってくれたら唇を読めばわかる。」と言う。
あれ?今まで私が見てきたものは何?
現実の聴覚障がい者の方も、みんながみんな手話じゃないんだよ、とか思ってるのかな?と、現実の聴覚障がい者の方々への見方も変わりました。
さて作品は「BL」なのに、なかなかラブな展開に進まない。ただそれがモダキュンとかすれ違いの両片思いとかそういうのとは違って、やっぱり健常者と聴覚障がい者の壁もあるし、2人とも大事なことは言葉にしないし、お互いがお互いのことを思って行動してるのに言葉にしないから伝わらないし、周りの人も思ってるけど「それを本人に言え〜!!」という展開が多くてね、なかなかラブラブにならないんですね。
だけど、2人の関係が少しづつでもラブになっていくのと、2人が人間的に成長していくのと、両方見守れる良作品だと思います。