落語「貧乏神」と「寿限無」を元にしたBLっぽい色めくお話。二つの連作と、その他の短編一つが入った作品集です。
落語を元ネタにして、人生や恋を取り入れた艶っぽい、そして切ないお話を作るなんて、作家様の創造力に尊敬です。様々な知見があり、かつそれを壮大に膨らませる力量がないと作れない作品だと思いました。
フラフラと生きる与平や寿限無に振り回されながら、自分を必要としてくれる人に特別な感情を抱くようになっていくビンちゃん。みんな、一人が寂しくて隣にいてくれる人を強く求め、そんな存在に癒されて生かされる。切なさと安心感のちょうどいい塩梅に、物語としての巧さを感じました。こういう面白い作品をもっと読んでみたいです。