日頃、BL作品中心に読んでいるのだけれど、箸休めに腐女子本を読んで「分かる!」とか「なるほど、そういう読み方もあるのか」とほかの読者のBLの読み方に共感したり、学んだりする時間も結構楽しんでいて。
こちらのつづ井さんの本も、そんな腐女子本なのかな、と思って読んでみたら、腐女子・オタク魂の限界突破か?と思うような突き抜けたつづ井さんの生き方に、笑って、笑い過ぎて泣いて、そして読後オタクと自己肯定感についてひとしきり考えたくなる作品だったのです。
あくまでもつづ井さんの絵日記だから、絵に期待する作品ではないです(つづ井さん、ごめん)。
とはいえ、腐女子を自認する読者だったら、この本を一度も笑わずに読み通すのは著しく難しいと思う。
自分の場合冒頭の「腐女子と電車」で、電車の中でBLを読んでる女性の前に立ってしまったときの心の声、読書中の彼女の表情が身に覚えがありすぎて大爆笑&上司と仕事から帰る道すがら草むらで動いているバ イブを見つけてしまった衝撃話あたりでもう大爆笑の連続でした。ふふ、気になる話題ばかりですよね?
実は、この作品、文庫本で「腐女子のつづ井さん」という単行本3冊分の大ボリュームで、全560頁もあるんですが、もう冒頭の50頁くらいでガッツリ心を掴まれてしまって「むっちゃ面白い!絶対レビュー書く!」と決意したのだけれど、読み通すのに3日間かかってしまいました(笑。お得と言えばお得)。
そんな風に最初は共感から始まったのに、夜中押しキャラの身長順に壁にマステを貼る、押しキャラのいる部活のマネージャーになりきって友達とリアルにお守りマスコットをリアルに作り出す、とつづ井さんが暴走しだしたあたりから、推しのためにそこまで入り込める彼女たちの真剣さ、突き抜けっぷりに、読んでいて次第に不思議な爽快感が生まれていたのです。
昔はオタクって、バレたらいかんやつでした。小学生で既に漫画好きのオタクだったのに中学生以降それをひた隠しにして拗らせてきた就職氷河期世代としては、ここまで好きなことに全力を注ぎこみ「こうしている時が本当に生きている自分」と言い切れて、仲間とも繋がれている彼女に「他人から見てどうこうではなく、自分の好きを大切にできる、自己肯定感のあるオタク」の生き様っていいな、とシミジミ。BL読みならきっと何か感じるものがあるかと。おススメデス💕