第二次大戦中の軍の物語というと、私が今まで拝読してきたのは、最前線で戦う軍人さんがメインのお話ばかりでした。
この物語の主役となるのは、そういった軍人さんではありません。とある駆逐艦の乗員の食事を一手に引き受ける主計兵、通称“めしたき兵”たちです。
戦中の海軍のお話の中では、航空隊が舞台の物語を最も好んでいた私(戦闘機大好き)。艦の中がメインで描かれているものは初めてだったので、かなり新鮮に読み進められました。
艦内で提供される食事は、自分が思っていたよりもずっと手が込んでいて美味しそう。特に、昭和初期にみかんのゼリーやチキンライスが出されるとは!とびっくりしましたが、よーく考えれば、洋食は明治時代には日本に浸透していたんだった…。
他にも中華あんかけをご飯に乗せたものなど、大戦中でも後期に突入するまでは、かなり豪華と思える食事(特に士官用)が出されていたこともあるんですね。
また艦ごとに名物料理があり、それを乗員たちが胸を張って自慢できることも何だか素敵でした。
命懸けで戦う兵たちに応えたい。その思いで知恵を絞り、美味しい食事を作ろうと日々奮闘する主計兵たち。目立つお仕事ではないけれど、彼らがいなければ始まらない。縁の下の力持ちとはまさに彼らのことですね。
作中にメインで登場した料理はレシピも乗っているので、海軍のご飯を家庭でも再現できます!