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今月(4月1日~4月30日)
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シーモア島


投稿レビュー
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手塚治虫が最後に手がけた作品2024年1月15日手塚治虫作品の中で最も好きな作品。もっと早く出会いたかった。
1980年代の日本の商社マンを主人公とした物語。主人公の日本人(ひもと ひとし)が支社長として海外支社へ赴任するところから始まり、行く先々で壮絶な体験をする。一つ一つのエピソードが、『日本人が海外でどのように見られているか』『日本人という肩書きが通用しない時、一人の人間として世界とどう向き合うべきか』を読者に問うている。読み進めるほどに、自分がいかに日本という村社会で世界を知らずに生きているか思い知る。ジャンルは全然違うが、ブラックラグーンを読んだ時と同じ衝撃だった。
社会派漫画が好きな人にはぜひオススメ。 -
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ノンフィクションだと思うと心が痛い2021年12月15日精神病患者の移送業に焦点を当てた、実話に基づくオムニバスストーリー。内容が凄まじすぎて読んでいるとだんだん気が滅入ってくる。絵が悲壮なストーリーにハマりすぎているのもある。
患者の家族はほとんどの場合どこか問題がある(毒親だったり)ように描かれている。まるでゴミ処理をするかのように移送を委託し、移送業者を軽んじる家族。一方でそうした扱いに耐えつつ、法外なお金を取ったり(相見積なんて取れない)、上から目線で家族に説教する移送業者。もう地獄絵図。
ヒロインの実吉さんのおかげで各話いい話風にまとまっているけど、その白々しさも意図して演出しているなら漫画担当が天才。 -
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ヒューマンドラマ2020年6月9日作者買い。意図しているかは分からないが、この作者の作品のテーマの一つが『怒りの消化(昇華)』だと思う。万人が感じたことのある怒りというよりは作者が中高時代に感じた、とても具体的なエピソードに対する怒りな気がする。初期の作品は、あの年代特有の未成熟さや残酷さを個人の人格と捉えて批判した、勧善懲悪物語が多い。作品が新しくなるにつれて、それぞれの立場や考え方を尊重するような描写が増え、それを支えるために世界観やストーリーは超現実的な感じになっている。キャラクターも10代がほとんどなのにも関わらずみな60年は生きた大人のように錬磨されていて、そのへんも現実感はないが物語としてはとても面白い。G線あたりから特にそう思う。青春時代の理不尽なモヤモヤを、歴年の知見をもって対応したらこんなスマートに切り抜けられるんだろうな、と思う。
バレーボール技術についての詳細な解説は、バレーを題材にしたヒューマンドラマではなく、あくまでスポーツ漫画として受け入れられたいと思う意図か?でもやはり焦点は世界観やストーリーがメインと思う。 -
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期待を裏切らない新作2019年1月24日田村先生の漫画には、セリフの見どころがたくさんある。セリフの奥に見える人生観には圧倒されつつも気取った感じはなく、心から共感できる。本作は他の作品に比べてセリフがかなり多いので、こうした魅力が凝縮されている作品だと思う。勿論ミステリーならではの先の読めなさやハラハラ感も味わえる珠玉の一冊。(タイトルは『ミステリという勿れ』なのであくまでメインは主人公による喋りで、先の読めなさやハラハラ感は二の次なのかも知れないが…この辺も疎かにしないと言うかさらっと両立出来るところが田村先生の凄いところ)
主人公の感じがBASARAの多聞や7seedsの鷭ちゃんに少し似ており、『彼らが目出ししたらこんな感じなのか?』と楽しみながら読んでいる。
実写化するなら、神木隆之介に主演してほしい。 -
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