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レビュー

今月(6月1日~6月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 僕らはそれを否定できない

    九號

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年6月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作は高校生カップルのお話でした。お互い好きなのに、気持ちを上手く言葉にできなくて擦れ違ってしまった2人。疎遠になった後の悶々とした日々が、それぞれの視点から描写されています。モノローグが効果的で、2人の高校時代に入り込んで眺めているような錯覚に陥り、ドキドキしました。2人とも15年も引き摺るって相当な想いがあるということで、同窓会で再会してお互いの気持ちを正直に話し合えたら良いなと思いました。そして受けの鈴木が好みドストライクだったので、是非とも続きが読みたいです。高校生の鈴木が時折見せる表情に、未熟で擦れていないからこそ出せる色気が垣間見られてたまらなかったです。オマケに大人になった斎藤で、九號先生の描く黒髪短髪メガネを拝めて嬉しかったです
    2作目は1つ年上のいとこに、主人公が片思いしているお話。大学で上京するいとこを追いかけていきそうな感じだったので、そこから恋が芽生えるのかな?っていう終わり方でした。
    3作目は楽しみにしていた恵太と郁のその後のお話!相変わらず親兄弟のような深い愛情を郁に注ぐ恵太が良かったです。なんかほんとに郁に優しいんですよね。私もこんな風に扱われてみたいって思ってしまいます。郁の母がアルバムを見せながら話すシーンはじ~んときました。良いお母さんだな~。野球部の顧問の先生も、マネの佐藤さんも、みんな良い人たちで、あったかい気持ちになります。今回は進路のことでゴチャゴチャ揉めるのですが、ここでも恵太は迷いが無くて、郁の方は置いて行かれる気がして不安になって、2人の違いが分かりやすく表現されていて良かったです。恵太は昔から行動や選択の動機がはっきりしていて、迷わないところがカッコイイと思います。郁がウジウジ悩むほど株が上がる感じがしました(笑)この先も見てみたい大好きなカップル。続きが読めたら嬉しいな。
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  • 僕らにまつわるエトセトラ

    九號

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年6月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初コミックスで今と比べれば少し拙い感じはしますが、それでも十分見応えがあって、すでに目の表情には惹きつけられるものがありました。私は表題作がすごく好きで、恵太と郁の性格の違いが上手く描写されているなと思いました。恵太の郁への愛の深さがひしひしと伝わってきて、恋人への感情と言うより、もはや親兄弟を思わせます。深いんだけど重くないところがまた素敵。もともと器のデカイ人間だったのだろうと過去の描写を見ていて感じましたが、そこへ更に大事故で生死を彷徨い、後遺症もあるという体験を経て、人間として成長を余儀なくされた感のある恵太。一方郁は恵太の隣にいるから子供っぽい言動に見えるけれど、ごくごく一般的な男の子で、年相応の感性で生きている感じ。描き下ろしで、先に行ってしまう郁を追いかけた恵太が車に轢かれかけた時、郁が過去の事故を思い出して過呼吸になる下りがありましたが、ここで郁に腹を立てないばかりか、自分を責めるという発想になる辺りが、恵太だなぁと思いました。なんかもう郁に対しては菩薩かよっていう・・・。
    他の2作も短いながらも良かったです。「桜の巡礼」はこの後恋が芽生えちゃうのかな?みたいな終わり方でしたが、その後の2人がどうなるかの妄想が非常にはかどって、読後は楽しかったです。恐らく読者の妄想がはかどるように描かれているのだろうと思うと、さすがだなぁと思いました。
    「うつくしい明日」では九號先生の黒髪短髪メガネは最高だと改めて認識しました。一瞬しか出てこなかったけど、桑原の学生時代に萌えました。
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  • 放浪犬と迷い猫【SS付き電子限定版】

    九號

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年6月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 先生の作品は「羊の皮~」「ACID TOWN」「放蕩息子~」を読んで、4作品目になります。毎回思うのですが、純粋で幼さを感じさせる受けがベッドで乱れる様は、ギャップも相まってすごくエロく見えるんです。今作の吉見も然り。彼を抱いたらどうなるんだろうって想像して南雲や加瀬が欲情しちゃうのも納得。また、攻めの加瀬はボサボサでボーボーでむさ苦しい見た目なのに、中身は赤ちゃんみたいに純粋で、絵を描く以外はポンコツの極みみたいなところが母性本能をくすぐって何とも魅力的でした。「受けに甘える攻め」という構図が大好物な私は、今回も大満足でした。
    吉見は7年前の心の傷が未だに生々しい状態だったので加瀬に対して辛く当たるし、加瀬は加瀬でしょぼんとするだけで何もアクションを起こさないし、かなりじれったい状態のまま話は進みます。主役2人が終始深刻な空気を漂わせているので暗い感じになりそうなところを、当て馬の南雲君が素晴らしく良い仕事をしてくれたり、他の脇役も濃いキャラが多くて、ワイワイガヤガヤして和ませてくれたので、そこまで深刻な気分にならずに済みました。
    最大の見せ場のシーン。間違えちゃった7年前をもう一度やり直すかのように、花火を背景に本心を伝えあう2人。こういう魅せ方好きだなぁ。そしてこの後、めっちゃ「ぐはぁ!」ってなったんですけど、やっと2人が繋がれた時の加瀬の表情がヤバかった・・・。すれ違ったまま、お互い7年も思い続けて、ようやく身も心も結ばれたというシチュエーション、宗教画のように肉厚でたくましい加瀬の胸に揺れるロザリオが良い演出にもなって、クリスチャンじゃないのに神に祈りを捧げたくなりました。九號先生の描く目は、感情が滲み出てるから惹きこまれます。
    ラストへの繋げ方も素敵で、綺麗に締めくくられてはいましたが、これからの2人がどんな風に付き合っていくのか見てみたいので、続編出たらいいなぁって思います。
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  • 「羊の皮を着たケモノ」番外編集【電子限定版】

    九號

    癒される番外編
    2025年6月11日
    小冊子とかペーパーが6つもまとめて収録されている番外編!これを読まなくても本編読むときに不都合があるわけではないけれど、本編のファンなら絶対癒されるであろう内容が詰め込まれています。加害者と被害者という過去はどうしたって消せないけれど、それを乗り越えるだけの想いを2人は持っていると、何気ない日常を切り取りながらひしひしと感じさせてくれる素敵なお話ばかりでした。
    恋人という形をとらず、いつでも離れられるようにしてあるところとか、抜け出そうともがいている辰巳を再び引きずり込もうとしてくる闇社会とか、なんだか本編読んでると、いつになったらこの2人に平穏は訪れるのだろうってやりきれない気持ちになるのですが、この番外編のお話は、そういう背景がある中でも、こんな穏やかな時間があるんだなと思えてホロリときます。また、辰巳の愛情表現が一周廻って分かりやすくなっちゃってるからか、イチャラブエロなしでもすごくキュンキュンさせられました。本編の続きが待ち遠しいですが、不穏な空気しか感じないので、こちらで甘さを補給しながら読み進めようと思います。
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  • セックスアンフレンド【合冊版】

    相野ココ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年6月1日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 相野先生の作品は全部大好きだけど、これはほんとに良くできたお話で、思い切り感情移入して作品の世界に入り込んでいけました。主人公の実祥が朝日とのキラキラした思い出を回想する度に憎悪を燃え上がらせる描写とか、運命の再会の後の、絆されかけては絶望するのを繰り返す心情描写が秀逸で、朝日への想いがどれほど深いかが否が応でも伝わってきて、私の方が切な過ぎて泣けてくる始末でした。もともとの性格が天性の陽キャみたいな実祥が、ここまで人を恨めるというのも、やはり朝日が特別だったことの証だと思います。朝日が何を考えて行動しているのかが分からないまま実祥視点で話が進むので、先が読めそうで読めず、めちゃくちゃドキドキさせられました。後半に朝日視点があるので謎は解けるのですが、途中までは実祥と一緒に感情がジェットコースターみたいに上下してしんどかった~。
    一番ゾクゾクしたのは2人が想いを伝えあうシーン!卒業式の日の忌まわしき出来事が新たな思い出として塗り替えられる瞬間を、凝った演出で魅せて下さいました。舞い散るのは花びらだったり枯れ葉だったり、2人の姿も高校の制服だったり現在の私服だったりと、そんな中であの時言えなかった言葉が次々と実祥の口からこぼれて、最後に一番言いたかったことを言った瞬間は、長い間抑え込んでいたものがブワーッと溢れて、2人の涙も溢れて、もちろん私も号泣です。質問に答える形での告白って初めてでしたが、そこに朝日の素朴な返事がベストマッチで、もう言葉になりませんでした。
    更にこの作品の素晴らしいところは、誤解が解けて思いが通じ合った先を描いて下さっていること。朝日は、傷付きたくないが故に自分の都合の良いように解釈して自己完結したり、実祥から罰せられるのを待っていたり、実祥が大事な癖にどこかズレた言動をしがちでした。このままじゃ、また実祥が傷付くことになりかねないなと思っていましたが、当て馬君の働きもあって、その辺を克服できたようで良かったです。それに何より恋人同士になって甘々な2人を見れたのも嬉しかった。もうね、表情がね、すごいんです。お互いを見つめる表情が。これは是非実際ご覧になって頂きたいです。
    色々間違えちゃった2人だけれど、そのお陰で今があるなら結果オーライですよね。番外編ではプロポーズまで見せてもらえて大満足でした。
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  • 完璧な柴先輩のやわいとこ【単行本版】

    相野ココ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 初めて柴とヤッた丸が翌朝全てを思い出して、心の中で絶叫するシーン。あれ、まんま私の心境を表していました。翌日も柴のエッチな姿で頭が一杯で目がギンギンになっている丸も同様に、私の姿そのものでした。しばらく「いい子だから、まだできるよな?」がリピート再生されて何も手につかなかったです(笑)始めっから飛ばすなぁって思いましたが、これが一番の盛り上がりではないだろうから、「これ以上がこの後来ちゃう?」ってものすごく期待して先を読むのを急いだのは言うまでもありません。だいたい、職場の後輩に酔った勢いとはいえ、あれだけの痴態を晒し、翌朝枯らした声で、さも当たり前の様にもう一回しないか誘うなんて、何でこの人、こんなにナチュラルにエロいの?考えてることも常にエロいし、なんなん、ほんと心臓に悪いわぁ。
    そして相野先生の作品の素晴らしいところは、こんなドエロい甘々な柴が、ホラーかってくらいの恨めしい顔で嫉妬したり束縛したりするところ!丸も柴の表情にはガチで驚いてましたよね。丸と言えば、一点の曇りもない青空のような男で、どれだけ柴の闇が深かろうと、引きずり込まれず共依存にならないところが凄いと思いました。アソコの毛を剃って服従を示す柴に引かないばかりか、怯えていることを心配するところ。丸は身体は小さいけど、器のデカさが折に触れて感じられて、そんな丸だから柴も釣り合う自分に変わりたいと思えたのかなと思いました。誰でも自分自身が変わりたいと思わなければ、他人がどんなに諭したって変われないものだと思うので、柴は丸と出会えて良かったなと思いました。丸はワンコのように見せかけてますが、どちらかというと飼い主みたいな感じがします。敬語で丁寧に言ってますが、子供を躾ける時みたいな言葉遣いで、ちゃんとできた時は褒めて、ダメな時は叱って、柴に愛情たっぷり注いで育てている感じがしました。描き下ろしの最後の1ページが正に飼い主と犬って感じで良かったです。私も飼い犬にこういう風に感じたことあったなぁって思い出しました。
    依存させず突き放さずの丸の躾が的確で、丸の期待に応えようと一生懸命変わろうとする柴。そんな2人を見ていると、この先も希望に溢れた幸せな未来が見えて、思っていたよりもずっと爽やかな気持ちで読み終えました。
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  • 君は僕の事を崇拝しすぎている。【特典付き】

    相野ココ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ なんかもう初っ端からラブラブカップルみたいな2人だったので、付き合っていないことに驚きました。この時点では黒野の片思いなのですが、宮地の方も自覚は無いけど学校が違っても黒野の家まで押しかけてるくらいだから相当好きなのがわかります。
    黒野が酔い潰れて宮地をももタンと間違えて襲ったことから、宮地の苦悩は始まります。ここからの宮地の悩みっぷりの描写が素晴らしくて、一人でウジウジ考えて、黒野が何も言わないから盛大に勘違いして、独り相撲してる感じがたまらなかった~。表面的には取り繕っているのに、キャパオーバーして感情が溢れちゃうところ、特に情緒不安定になって泣いちゃうところでは、宮地のクズイ友人までドキッとさせる色気を醸していましたね。はぁ、可愛すぎる、最高だぁ。
    私は凪良ゆう先生の「美しい彼」が好きなのですが、そこで「キモい攻め萌え」というのを知りました。私はキモい攻めには萌えなかったけど、キモい攻めにピッタリの受けが私のドストライクだと気付いたので、それからは自分好みの受けと出会うために「キモい攻め」を探すようになりました。だから黒野を見た時は、「キモい攻め見っけ!」と心躍りました。黒野のおかげで、宮地はとことんエロく可愛く仕上がってくれて大満足です。こういうリア充のツンツン美人受けが支配されたがる男が、黒野みたいな男だというところに興奮します。ちなみに、個人的には黒野をキモいとは思わないのですが、このお話の中ではキモい設定なのでそういう目で見ている感じです。まぁ、とにもかくにも宮地が可愛くてエロくて満たされました。ありがとうございました。相野先生の描くウジウジした受けが好きすぎるので、これからもせっせと作家買いさせて頂きます。
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  • むかいの部屋のねこ【合冊版】

    相野ココ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月26日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 南くんで好きになり作者買いをしています。こちらで3作品目なのですが、今回のも超良かった!BLではありふれた題材ですが、そんな王道の魅力を存分に堪能できる作品です。読み終えた後、まずこのタイトルと表紙が秀逸だと思いました。本当にこの作品を上手く表しているなぁと。受けの雪の秘めたる思いが延々と綴られていく感じなんですが、相野先生は思い悩む心境を描写するのがすごくお上手で、特に雪の「好き」が漏れ出てしまった表情がすんごく良い!表紙の絵もそうだと思うんですけど、こんな顔されたら惚れちゃうよな~って思いました。そして攻めの嶋が雪を好きだと自覚していく過程にもすごく説得力があったので、受けにも攻めにも感情移入して読んでいけました。何気に印象に残っているのは雪の幼馴染の育次。寮長とか部長とかやってるのも頷けるバランスの取れた人格者だなと思います。冷静に状況を把握して、的確な判断で絶妙なサポートを2人にしていました。両片思いのすれ違いラブがお好きな方にお勧めしたい作品です。
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  • いびつなボクらのカタチ【合本版】

    見多ほむろ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 血縁や戸籍など関係なく、家族と呼べる人がいることの素晴らしさに気付かされる良作です。見多先生の最高に魅力的な絵で、こんなに素晴らしい作品を読むことができて幸せでした。
    私は最初、誠二が伊吹にしたことが、いくら娘を守りたいためでも酷すぎると思いました。酷い人認定して読んでいたので、舞花に伊吹を守るよう指切りして約束しているのを見ても、伊吹に自分みたいな男が近づいて利用しようとすれば娘も巻き込まれるから、娘のために言ったのだと思っていました。しかし、誠二の一番守りたかったのはもちろん娘だけれど、同時に伊吹も守ろうとしたのかもしれないと思えてきて、もう一度読み返したら、誠二がめっちゃ良い人だということに気付きました。舞花の観察眼は父親譲りなんだなぁ。ずっと伊吹を近くで見てきて、彼なら舞花と本物の親子になれると思ったから、2度も愛する人を失うという経験をさせることになっても、伊吹に舞花を託したんだ。伊吹が自分を蔑ろにしがちで、自分を責めてばかりなところも心配していて、舞花を育てることで伊吹自身が救われることも願っていたのかもしれない。自分では薄情だと言っているけれど、的確に状況判断して、情に流されない選択ができるというだけで、決して冷酷な人ではないんだと思いました。パパを守るという使命の元、舞花も強く逞しく優しい子に成長したし、誠二がどこまで見通していたか分からないけれど、あの世で大満足しているのではと思います。
    辛い事が多かった伊吹と舞花だけれど、結果として阿部親子と出会うことができた訳で、舞花が結婚するまでの15年間は描かれていませんが、きっと4人にとっては大変さなんて吹き飛ぶくらい喜びにあふれた日々だったのだろうと思います。ラストで佑真と伊吹の指輪の位置が違ったのは意味があるんだと思うんだけど、佑真は右手薬指にしているのに、伊吹が左手中指にしているのは周りに恋人がいることを言っていないからってことなのかな?余分に取ってくれた5分間の式場で指輪をお互いの右手薬指にはめ合ったのかな。誠二の過去や阿部親子の事情も知りたいし、色々種明かし的な続刊出てくれないかな~。
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  • たかが復縁【SS付き電子限定版】

    見多ほむろ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「たかが復縁」3話+番外編2話、「愚か者のあやまち」前後編の2作品収録されていました。ほむろ先生の作品では「好みじゃなかと」が一番好きではあるのですが、読み返し回数で言ったら「たかが復縁」がダントツです。私は先生の描く普通のオジサンが大好きで、それだけで白飯3杯は余裕でいけます。こちらは哀愁漂うナイスミドルで、しかも同級生!2人ともキレイ目ではあるけれど、地味でパッとしない容姿と人生を歩んできたオッサン同士が再会ラブ!高校時代の天野がまたすっごい良くて、神経質そうな綺麗なお顔で竹原に激重な愛情を、さも当たり前かのようにぶつけるのがたまらなかった~。高校生とは思えない色気にこちらまで当てられました。竹原が天野との失敗を20年以上引きずるのも無理はない・・・。
    再び想いが通じ合った後の天野に高校時代の彼が重なって、もっともっとそんな天野が見たくて何度も読み返しました。何回読んでも続きは出て来やしないのに、それでも読んじゃうくらい彼らのイチャラブを切望しております!初めて竹原と繋がれた時、天野の目に涙が見えて私も感極まりました。竹原にどれだけ愛されているか実感する天野が見たい。番外編2話ともスッゴク良かったけど、やっぱり足りないよ~!続き出るなら天野視点で描かれてるといいなぁ。ちょっと何を考えてるのか分からないところがあったので。
    1作品目に文字数割きすぎちゃいましたが、2作目もとても面白かったです。この攻めみたいなオッサンはちょっと好みじゃないので性癖には刺さらなかったけれど、暗くドロドロしそうなストーリーをこんなにカラッとユーモアたっぷりに仕上げるなんて、ほむろ先生は本当に面白い作家さんだなと改めて思いました。こんな主人公、先生にしか描けない気がするし、ラストのコマなんか、思わず笑っちゃいました。主人公が告白して玉砕しても笑えちゃうお話なんて、そうそう無いと思います。何気にこの2人の行く末が気になりました。
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  • 恋咲くポタジェ

    見多ほむろ

    作者買いです
    2025年5月18日
    表紙の絵がなんとも物語の雰囲気に合っていて素敵。ユーモアたっぷりにほのぼのとした日常の中の恋が描かれていて、読んでいてとても癒されました。
    4話目はセツ視点で描かれており、両親が亡くなってからの大変だった日々を振り返りながら、由井に対する想いや、農業に対する想いなど、彼の人となりが伝わってきて良かったです。周りの人達に支えられながらセツが大きく成長できた裏には、父親の親心があって感動しました。セツと由井の恋が中心にはありますが、全体として人と関わることの大切さみたいなものが描かれているような気がします。
    それにしても見多先生の描く笑顔って本当に魅力的。この作品では特に際立っていた気がします。満面の笑みも、ふとこぼれる笑みも、美味しい時の笑みも、目にすると一瞬で引き込まれて、しばらく見惚れてしまいます。先生の優しい絵柄が大好きです。
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  • なつみちドライブ

    見多ほむろ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ テンポ良くお話が進んでいくので読みやすかったです。家族に落ちこぼれ扱いされ続け、自己肯定感がゴミレベルの道春が、そんな自分を認めてくれる従兄弟の夏樹にコロッといっちゃうところ、可愛かったです。夏樹は百戦錬磨といった感じなのに対して道春は恋愛経験ゼロで、ちょっと心配になりましたが、ちゃんと愛されているのが後半伝わってきてホッとしました。夏樹の過去がちらほら垣間見えるコマがあるのですが、昔はヤンチャしてたみたいで、何かにつけ規格外で常識に囚われない思考回路なのがよく分かります。夏樹のそういうところにも道春は魅力を感じるんだろうな。ただ、だからなのか分かりませんが、道春に手を出すことに躊躇いがなくて、曲がりなりにも教職についているんだから、どんなに道春にねだられても卒業までエチはお預けにして欲しかったかも。夏樹の幼馴染の大八木も受験間近の高校生拉致して何やってんだって話でしたが、まぁ終わりよければ全て良しってところでしょうか。大人に振り回されっぱなしだった道春でしたが、ウブで純粋な彼が、無自覚に余裕こいてる夏樹を振り回すところが見たかったなぁ。同時収録の短編も良かったです。
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  • キミの傍でやみくもな夢を見る

    見多ほむろ

    作者買いです
    2025年5月15日
    「好みじゃなかと」にドハマりして、作者様の他の作品も読みたくなり購入。表題作は、いまいち2人の心情が伝わってこなくて入り込めなかった。特に矢ヶ崎が何を考えてるのか分からなかったです。他の6作品はファンタジーで、花とゆめやララに載ってそうな感じ。独特で不思議な世界を楽しませてもらえました。最後のお話が一番好きです。一番わかりやすかった(笑)BLというより少女漫画として読む方が満足できるかも。
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  • ベイカーベイカーパラドクス

    暮田マキネ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月13日
    このレビューはネタバレを含みます▼ これは今まで読んできた暮田先生の作品の中でも一番好きです。オマケでこのお話の元になった同人誌まで収録されていて至れり尽くせりの内容でした。実の兄弟で恋に落ちるなんて全く理解できないけれど、それでも兄弟モノBL大好きな私。中には感情移入しづらい作品もあるけれど、こちらは本当に読者に親切と言うか、分かりやすくて没入しやすかったです。長い間先生の中で温められてきたお話なだけあって、画面の隅々まで無駄がなく、必要な要素がギュッと詰め込まれていて、違和感とか感じずに最後まで2人の世界を堪能できました。
    印象的だったのはオミの情緒が常に不安定で、ちょっとしたきっかけで均衡を崩して、幼い顔が垣間見られるところでした。毒親達から兄を守るのだと、年齢以上に背伸びして、常に気を張って、得意でもない勉強を頑張り、家事も兄の世話もして、そりゃユキ以外の人間に刺々しい対応にもなるよなぁって思いました。終盤、ユキが倒れた時、自分を責めて泣いているシーンは本当に可哀そうで、「あんた、十分頑張ってるよ」って私まで泣きながら読んでました。ここはまた、ヤマの神対応が光るシーンでもありました。
    これからはオミに気づかれないように、記憶が戻ったユキが弟のフォローをしてくれるんじゃないかな。想いが通じ合って少し落ち着いたオミだけど、色んな意味で能力の限界というか、ここから本当の2人の幸せな世界へ持っていくには、ユキの頭脳が必要なのではないかと思われます。ノリちゃんやヤマという味方もいるし、大丈夫!
    「そばかすお饅頭なチビ臣」と作者様があとがきに書かれているけれど、普段どんなに虚勢を張っていても、お兄ちゃんの前では臣の内面はこのチビ臣のままな気がします。誰もそこに突っ込まないくらい自然に「にーに」って呼べちゃうくらいですし。この兄弟の間だけで成長していない部分が見受けられるところに、ひどく萌えました。
  • ロッカバイディア

    暮田マキネ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月11日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 養父母からもらった愛情に報いるためだけに生きる累。そんな累の傍に居続けるにはどうすればいいのか考え続けてきた八尋。元々危うかった均衡が崩れたのは、累の養母の妊娠が発覚してから。どんどん自分を追い詰めていく累も痛々しかったけれど、累の夢遊病に気付いた時の八尋が自分を責めるシーンはもっと切なかった。八尋の累への献身は、累を自分に繋ぎ留めておくためだったかもしれないけれど、どうしてここまで求められるがままに与え続けられるのか?人一倍愛されて育ったようにも見えないし、自分だって欲しいモノは少なからずあるだろうに。それだけ彼にとって累という存在が絶対に何より失いたくないものだったってことなのかな。物語の中盤なんて、ただの竿状態になっていて、それでも累から離れようとしない八尋が不憫でした。累の境遇の不憫さは分かりやすいけれど、八尋は自ら不憫を買って出ている感じでした。
    累自身はいつか八尋との関係を終わりにしなければいけないと考えていたわけで、そのいつかがくるまではと曖昧な関係を続けているような状態だったから、養母が妊娠して加速度的に状況が悪化して逆に良かったのかもしれない。行くとこまで行かないとどうにもならないコトってあるよな~って思いました。でも本当、八尋が報われて良かった。累には何も求めないのに、累の欲しいものは与えるということをし続けてきたのは、結局累自身が八尋の隣を選んでくれないと意味が無いと思っていたからなのかもしれないと思いました。
    難しいテーマなのに、人物一人一人の心情描写が丁寧で、すごく読み応えがありました。何度読み返しても飽きずに読める、素晴らしい作品です。
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  • 木陰の欲望【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

    暮田マキネ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年5月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 緑の鮮やかな表紙に意味深なタイトル。鼎と瑞希の複雑な想いが、拗れに拗れて、どうしようもなくなって、もう壊すしかなくなって、それでもそこから恋人として再構築していけたのは、2人が長年共に過ごしてきた年月の成せる業なのかなと思いました。
    「お前がこの世の全てだ」と言わんばかりに求めてくる鼎を、最初はそれでは鼎の為にならないと距離を置こうとした瑞希でしたが、最終的には自分の心にも素直になって受け入れた瑞希。初めては無理矢理でしたが、このシーンは瑞希可哀そうだったけど、必要だったなぁと思いました。これを許せるなんて、どんだけ鼎を愛しちゃってるんだって話ですよね。16歳にして恋愛感情とか超えてる感がある。2回目のエチシーンもぎこちなさや余裕の無さが、高校生らしさや2人の関係を表していてとても良かったです。
    もっとドロドロするかと思ったけれど、鼎が生い立ちのわりに割とまともに育ったせいか、この手のお話にしては読後感が爽やかでした。木島や瑞希家族や信二たちを始め、両親以外の人間には恵まれたからかもしれません。もっと歪んで闇落ちしていたらと思うと、ちょっとそういうのも読んでみたい気もしますが、この2人は可愛い共依存状態で幸せになってほしいので、木陰程度の暗がりが調度良いんだと思います。
    あとがきで、受け攻め逆をイメージしていたという感想が多かったと書かれていて意外でした。鼎のような必死過ぎて可哀そうになってくるような攻めが、母なる大地のような受けの愛に包まれて満たされる構図が大好物なので、逆じゃなくてラッキーでした。他の方のレビューを拝読したら、こちらの作品にはスピンオフがあるとのこと。そっちも読んでみようと思います。
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  • シュガーベイブ【電子限定描き下ろし付き】

    暮田マキネ

    作者買いです
    2025年5月8日
    表紙の雰囲気とは裏腹に、割と深刻なトラウマを抱えた主人公のお話でした。高校生同士のふざけた会話の裏で、主人公のチカが過去に囚われて自分を縛り続ける様子は、読んでいて胸が痛みました。暗くなりがちなテーマですが、チカを見守り支える仲間たちの温かさや、惠純の真っ直ぐな想いが、物語を全体的に希望にあふれるものにしているように感じました。
    今まで読んできた暮田先生の作品が、偶然だと思うのですが、受けが周りの人からめっちゃ愛されてるものばかりで、とにかく受けが超可愛いんですよね。周りが過保護になるのも頷ける。今回のチカも、反応がいちいち可愛すぎて、「なんなのもう!」って感じでした。チカの周りのキャラ達に共感しながら読めるなら、更におもしろく感じると思います。
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  • 助教授の初恋ケーススタディ【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

    暮田マキネ

    作者買いです
    2025年5月7日
    「僕の可愛い酔っぱらい」と地続きになっているというこの作品。本編での絡みはありませんが、同じ世界でのお話だと思うとイメージしやすくておもしろかったです。主人公は攻めの朝陽なんですが、画面は由鶴の可愛さで溢れかえっているので、彼の魅力にハマれたのなら、登場人物たちに共感しながら存分に楽しめる内容になっています。特にエロいことしてる時の由鶴が可愛くて、誘い方も可愛くて、一番キュンときたのは由鶴が告白するところ。普段の合理的でドライな由鶴からのそれは反則だよ~!需要と供給が合っている朝陽とは、すぐ上手くいきそうに見えたけれど、意外にくっつくまで時間がかかって、両片想いのモダモダを楽しめて良かったです。
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  • 嘘つき達の長い夜【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

    暮田マキネ

    作者買いです
    2025年5月4日
    「僕の可愛い酔っぱらい」の続編。ちいさんの元カレが職場に舞い戻って来たのを発端に、付き合いたてのチイとヒナの間に暗雲が立ち込めるシリアス展開。チイを深く掘り下げる感じだったので、こちらを読了後前作を読み直すと、色々見え方が変わっておもしろかったです。繊細で優しくて誰より傷つきやすいはずなのに、何でこんなに無防備なのか不思議でしたが、チイに惚れてる周りの面々が大事に大事に守ってきたからなのかなと思いました。それにしても篠田のチイへの執着は親友の域を越えてる気がしたから、ひょっとしたらワンチャンあったかもだけど、壽の言う事信じてチイに確認もせず絶縁するような男だった訳だから、壽が邪魔しなくてもいずれ関係は破綻していたのではないかな。チイの無防備な心に深い傷を負わせた辛い過去だけど、その全てが今に繋がっていると思えば、嘘つき達各々に必要な経験だったんだろうな。ヒナは過去の事件の当事者ではなくて蚊帳の外状態でしたが、チイの過去を知ったことで色々覚悟が決まったようで良かったなと思いました。ラストの2人は、それぞれ一山越えて少し逞しくなったように見えました。
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  • 新装版 僕の可愛い酔っぱらい【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

    暮田マキネ

    作者買いです
    2025年5月3日
    「はじめて、はじめました」が良かったので、こちらも購入。作者様初めての単行本の新装版。絵もストーリー構成も、最近のと比べると野暮ったい印象ですが、これはこれで味があって良かったです。「はじめて〜」の時も感じたのですが唇に目が行くことが多くて、なんだか無性にむしゃ ぶりつきたくなる魅力的な唇を描かれる先生だなと思いました。人物描写が丁寧なので感情移入もしやすくて読みやすかったです。
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  • はじめて、はじめました。

    暮田マキネ

    ピュアの極み
    2025年4月29日
    表紙に惹かれて購入。思った以上にピュアッピュアな2人のお話で、さすがに番外編では関係が進展するだろうと思っていたら全然そんなことは無く、ひたすらピュア道を邁進している2人がとても尊かったです。この先が見たい気持ちと、このままでいて欲しいと思う気持ちが葛藤しております。BLというくくりを越えて、人が人に惹かれるってこういう事だよな~ってしみじみと味わえる素敵な作品でした。
    2人ともそれぞれ人生における大きな節目にあるわけですが、特に鴇ちゃんが抱える悩みって、仲が良くて深く愛し合う家族だからこそ生まれるものだから、なんだか切なかったです。鴇ちゃんは概ね芯が強いのでしょうが、一部超柔らかいところがある感じがして、少し危なっかしい気もします。続きが読めるなら、先に前に進み始めたタカラ君と共に、鴇ちゃんが自身の抱える問題を乗り越えていくところが見たいです。
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  • こたえてマイ・ドリフター

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年4月3日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 思慮深く聡明で、想像力豊かな少年だったリンチェ。欲しい物を欲しいと言えない、何かにつけて自分を抑えることでその場を凌ぐような子。親にすら異物扱いされ、どこにも居場所がなかった。
    対照的にエリオットは思慮が浅く現実主義。優秀でもないのに周りを小馬鹿にしてるところがある。恵まれた家庭で愛されて育ったため、強引で我儘なところがあるが、それは長所でもあり、根拠の無い自信で、どこまでも自分を信じ貫く強さを持つ。
    自分とエリオットは住む世界が違うのだと気付かされる度、彼を遠ざけようとするリンチェ。憎しみではなく、エリオットとの思い出を糧に生きてきたから、それを美しいまま守り抜くことが彼にとっての生命線になっているように見えました。欲しいものに手を伸ばさず、想像して満足する方を選んできたのは自己防衛本能なのかな。願いに真っ直ぐ突き進むエリオットに対し、リンチェがちぐはぐな行動をとっているうちに、事態は最悪な状況に陥ります。
    しかし、別れを告げるリンチェからの手紙で、彼がどんな気持ちで生きてきたかの一端に触れ、エリオットの覚悟が決まります。リンチェが出所するまでの5年間の描写はありませんが、彼を守るのだという幼い頃から変わらない想いを貫き通し、がむしゃらに生きてきたのは想像に難くありません。
    ラスト、喜びを瞳に称えながら愛おし気にエリオットを見つめるリンチェと、得意げな顔で見つめ返すエリオット。この横顔、まぎれもなく大人の顔なんですが、子供時代の顔にも見えるんです!そういう表情が全体を通して何度もあって、鳥肌が立ちまくって、風邪ひいたかと思った!どんなにその手が汚れても、子供の頃のままの純粋で穢れない魂を、2人の表情に見る事ができます。このシーンまでくると涙が溢れて、また初めから読み返したくなり、毎回無限ループに陥ります。
    辛酸をなめ尽くした2人ですが、今までの全てがあったからこそのこのラストだと思うので、全て必然だったのだと思いました。明日にでも終わりを告げそうな2人の生活ですが、1秒でも長く共に居られることを願ってやみません。彼らの幸せなその後が読めたら嬉しいです。
  • コントラディクト

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年3月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 今回の攻めはとても面白い男で、読んでいる間とことん楽しませてもらえました。
    消防士として能力は高いが自惚れも強い矢島。1巻序盤では「小学生か!」と言いたくなるような言動だったのに、そこから本気の恋をして思春期真っ只中みたいになり、2巻では「失う怖さ」を経験し、ようやく精神年齢が年相応になった感じでした。2巻ラスト、照れることなく鳥飼への想いを口にした矢島の穏やかな表情が印象的。
    受けの鳥飼は過去の失敗がトラウマになり、矢島との関係に対して常に逃げ腰だったけれど、すれ違いからの一連の出来事で、ようやく過去を通して現在を見る事をやめて、今この瞬間の矢島と真正面から向き合えるようになった感じでした。そんな鳥飼に寄り添うような言葉を掛ける矢島を見て、「そんなこと言えるようになったんか!」と感無量になりました。ただのデリカシーの無い脳筋ゴリラだと思ってたけど、根は優しい子なんだなと思いました。
    大島先生の作品の中でも、これはエチシーンが多い気がしますが、どれも全て最高でした。初エチの時点で既に矢島から興奮が見て取れましたが、毎回理性が飛びそうなくらい欲情しているのが伝わってきて、先生のその表現力の高さに改めて目を見張りました。また鳥飼はいじらしさが大爆発で、矢島と繋がれる喜びが全身から溢れ出ていて、いつになく素直で無防備で、とんでもなく感じまくっている様子が、冴えわたる画力で余すことなく描写されており、もうエロいなんていう一言では表しきれないです。自尊心が服着て歩いてるような矢島にしてみたら、自分が唯一認める男がこれほどの想いをぶつけてくるなんて、もう満たされ感が天元突破なんじゃないですかね。鳥飼のナカがめっちゃくちゃイイのも、「矢島が大好き」って思いがナカの状態に現れるからなんだろうなと思いました。
    大島先生お得意のユーモアにあふれたライバルBL、明るく楽しいお話だし、消防士は無条件にカッコイイし、エチは全て最高だし、そこまで読む人を選ばない気がします。とにかく良いので、多くの方にお勧めしたい作品です!
  • 逢縁カタルシス

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年3月25日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 竜次目線のシーンが多いせいか、竜次の生い立ちや過去ばかりが明らかになっていく反面、近藤について分かるのは、被災して職を失い大阪にやってきたということだけ。何でかなと思いながら何度も読み返していて気付いたのは、生い立ちや過去よりも、物語冒頭の近藤がどういう状態なのかがとても重要なのではないかということでした。過去に積み重ねてきたものが根底から覆るような地獄を体験してきた直後だと思えば、心がキャパ越えしてフリーズ状態にあり、表情も感情も乏しく、どことなく虚ろな感じがするのも頷けます。そんな彼が、竜次の気遣いや優しさに触れる度、少しずつ自然な笑顔を見せるようになり、更に竜次に恋をして湧き上がってきたエネルギーは、彼にようやく生きている実感を与えたのではないでしょうか。何気ない日常の描写にも愛しさを感じました。
    近藤は竜次を自分のものにしたいという願いに突き動かされるように、真正面からアプローチしていきます。「ちょっと調子に乗りすぎなんじゃないの?」と見ているこちらがハラハラするくらい、竜次のパーソナルスペースにずかずか入り込んでいきます。ここで竜次の懐の深さと柔軟な心が顕わになるのですが、図星を指されても怒らず受け入れる。それどころか竜次は近藤の言葉をきっかけに自分と向き合い、おざなりにしてきた問題の解決に向けて自ら動いていく。
    自分からけしかけておいて、予想以上の変化を遂げる竜次に焦る近藤でしたが、そこからの初エチまでの流れが神懸っていて、不意打ちだったこともあり鳥肌が立っちゃいました。これはもう「とにかく読んでみて下さい!」としか言いようがないです。子供の様に夢中で欲しがる竜次と、見事竜次を縋りつかせた近藤の何とも言えない表情に、私は昇天しかけました。
    被災して凍り付いたままだった近藤の心を溶かしたのは、竜次の温かい人柄でした。竜次のその温かさの裏には、幼い頃からの苦労があって、生きるために守り続けていたはずが、守るために生きるようになっていて、ずっと息苦しかったと思います。失うものなど何もないかのような恐れを知らない近藤の姿を見て、今度は竜次が抑え込んでいた想いを解放し、ラストは竜次の曇りのない笑顔で締めくくられていました。欲を言うなら、生まれ変わった2人の再出発を続編にして欲しいです。絶対面白くなるはず!
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  • チキンハートセレナーデ【電子限定描き下ろし付き】

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年3月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ただのセ●レから始まった二人が、お互いかけがえのない存在になっていく過程が、2人の過去や生い立ち、現在の状況、心情、あらゆる面から丁寧に描写されているので、とても分かりやすく説得力がありました。
    攻めのヒロミチは、自分を押し通すことで誰かが悲しむのは見たくない。それなら自分の心に蓋をして胡麻化しながら生きる方を選んでしまう。繊細で優しい心の持ち主です。
    そんなヒロミチの優しさに折に触れて気付き、惹かれていくハヤト。彼もヒロミチを気遣って、明るく振る舞ったり、食事や遊びに誘ったり。
    大きな孤独を抱えて生きていた二人が引き合ったのも偶然ではないんだろうと思わせる描写が本編や番外編からも見て取れて、お互いが相手の心の機微を察することができるから、そっと寄り添い合えるんだなと思いました。共に時間を過ごすほどに、その心地良さから離れがたくなるのも頷けます。
    私がこのお話で一番素敵だなと感じたのは、心にポッカリあいた穴を、相手の愛情で埋めようとせず、逆に埋めてあげようともしないところ。自分で自分と向き合って、家族と向き合って、自問自答を繰り返し、傷付き何かを失っても、つかみ取った答え。それは信じるに値する、確かに存在する自分自身。
    先に答えを出したのはヒロミチで、一度は別れたハヤトの元に帰ってきたところからのエチ、素晴らしかった!この時の私はエチに対する期待より、ただ息を吞んで成り行きを見守っていました。不安が拭いきれず、この期に及んで受け入れることをためらうハヤトに、ヒロミチが言ったセリフが、なんかもう、感無量で「あ~、ヒロミチ頑張ったんだなぁ」ってしみじみ思いました。
    あと、ハヤトが依存していた兄とヒロミチの存在を比較できるようになっていたのも、分かりやすくて良かったです。この兄には逆立ちしたって弟の心情を想像することはできない。結局兄には弟が自分だけに縋るように依存している状況はまんざらでもなかったのでは?無自覚だから余計たちが悪い気がしました。ハヤトを手放したくないのがダダ洩れな兄に、ヒロミチが放った言葉には心底スカッとしましたね。兄と3人で話し合った帰り道、ヒロミチに自分の気持ちを言い当てられたハヤトが思い切り赤面して、そこからのハヤトがヤバいくらい可愛くて、最後に彼の口から「愛してる」という言葉が出た時は泣きそうになりました。願いが叶って良かったね!
  • 恋ときどき、焼きサバ定食

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年3月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作は3話+描き下ろし。ナルシストの自称エリート証券マン永瀬と父親と大衆食堂を切り盛りする仁。描き下ろしまで一貫してコメディ色の強いお話でした。やっぱり大島先生のユーモアセンス好きだな~って改めて感じました。独りよがりで空回ってばかりの永瀬が見ていて痛々しいですが、食堂の常連さんや仁の父親などが良い仕事をしていて始終楽しく読めました。永瀬のお面を張り付けたような表情が、仁の言葉で緩んで素に戻るところ、良かったです。見た目とは裏腹に、仁が世話好きのオカン系男子というか、ダメな子ほど可愛く思っちゃうようなタイプだったみたいで、なんだかんだで絆されてくれて良かったね!
    2つ目は1話だけの短編でしたが、私はこれが一番好き。セリフから表情から、何から何まで無駄がなく必要なものが全て詰め込まれていて、一呼吸で読めちゃったような錯覚に陥るくらいスルンと読めて、読後の満足感もバッチリ。小6男子が性に目覚めるエピソード、めっちゃエロく感じたのは私だけ?すごく印象に残りました。
    3つ目は飼い犬が人間になって飼い主を助けに来てくれるお話。可愛くて、ちょっと切なくて、素敵なお話でした。トオルの心情もクロの喜び悲しみも良く伝わってきたので、ラストはただただ「良かったね~!」って気持ちになれました。父親が亡くなってから一人ぼっちだったトオル。お父さんも、この結末にあの世でホッとしているのでは?
    とても読みやすい短編集。3作品とも読後ホッコリできる良作でした。
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  • 陰と日向のボーダーライン

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年3月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作3話+描き下ろし、「街角のエピローグ」前後編。短いのにとてもきれいにまとまっている2作品。対照的な読後感でしたが、2作品とも読み応えがありました。
    表題作はかなりヘビーな内容ですが、読者がその後を連想できる要素がさりげなく押さえられていて、共依存モノとして満足度の高い作品でした。「無事に共依存の関係が成立してめでたしめでたし」という、いつもなら堕ちていくしかなさそうな2人の未来にゾクゾクしながら読み終えるところですが、なんせ私も丸山と同じ穴の狢。自分の黒歴史がフラッシュバックして、不必要な感情移入をしてしまい、脳が勝手に2人の未来に希望を持たせようと、彼らの行く先を阻みそうな問題の解決策を考え始めてしまいます。描き下ろし以外は一貫して丸山目線で語られるのも、私の余計なおせっかいを加速させました(笑)
    そういう私情は脇に置いておいて、大島先生の描く表情の素晴らしさには毎度感動を覚えます。この作品はとくに表情が重要な要素になっているせいもありますが、セリフのない顔アップのコマが凄い量の情報を与えてくれます。エチの時の表情は言わずもがなですが、ラストで柴村が丸山に顔を近づけながら「嬉しいんです・・・」と言う時の顔。妖艶で自信を感じさせる、初めて見る柴村の表情に、彼の心情の全てが詰め込まれている気がして鳥肌が立ちました。
    「街角のエピローグ」の方は、2人の性格が陰と陽で対照的なところは同じでも、一転して明るいお話。正反対の2人が少しずつ馴染んでいく過程が丁寧に描かれています。イタリア人らしからぬ生真面目で陰気な男、ロベルト。コミュ力最強な天性の陽キャ日本人留学生ユースケ。このお話も片方(ロベルト)の視点のみで進んでいくのですが、きちんとユースケの大事な表情が押さえられているので、お互い惹かれ合っているんだなと伝わってきます。だからなのか、ラストまでの展開が早くても置いてけぼりにならず、気持ちのいい読後感を味わえました。ここからというところで終わっていても全く物足りない感じがしなかったです。
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  • 猫背が伸びたら

    大島かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2025年3月17日
    このレビューはネタバレを含みます▼ ラフなタッチでササっと描かれている中に、不意に表れるドキッとするような表情が見るものを釘付けにします。
    攻めの新井は中学時代の出来事がきっかけで心を閉じてしまい人と深く関わらないようにして生きてきました。自分の周りに壁を作って、好きな人に対してさえも普段口から出るのは当たり障りのない返事ばかり。その反動なのか心の声は饒舌で、お陰で新井という人間がくっきり浮かび上がって感情移入しまくれました。冒頭に書いたドキッとする表情というのは全て受けの石渡のものですが、纏わりつくような新井のモノローグの合間に、何とも言えない石渡の表情が、暑い中吹き抜ける涼風のようで、一瞬全部忘れて見入ってしまうんです。「あ~、好きだな~」って思ってしまう。
    また石渡という男がとんでもなくイイ男なんですよ。特別な何かがあるわけじゃないのですが、本当に自然にありのままで存在してる感じが凄くイイ。仕事柄か洞察力もあって、新井のことをよく見ていて、壁を作る相手に対してどうアプローチすればいいか慎重に考えるところなんか、とても優しい人なんだなと思いました。そういうさりげない気遣いは一朝一夕で身に付くものではないと思うので、石渡にも今まで生きてきて色々あったんだろうなと察します。石渡の背景についてはほとんど触れていなかったけれど、彼自身が分かりやすい性格なのでモヤモヤすることはなかったです。
    エチシーンは修正がいらないくらいの描写でしたが、石渡の表情がいいのなんのって!2人の初めての夜も経験値の差を感じる中、キスされて驚いて2回目をねだる石渡に私まで大興奮!そんなねだり方反則だよ。想いが通じ合った後の仲直りエチも、告白の仕方が物凄く石渡らしくて、私が言われたわけではないのに心臓を撃ち抜かれ即死でした。石渡がモテてたのは顔が良いからだけじゃないのでは?正にケツで抱く男ですよ。母性すら感じます。
    石渡の人柄に触れ、恋愛だけの問題ではなかった大きな壁を乗り越えることができた新井。猫背が少し伸びるまでの過程は、誰もが共感できるのではないかと思います。自分と向き合うきっかけにもなる素敵な作品。お勧めです。
  • 仕立て屋と坊ちゃん

    大島かもめ

    もう何度も読み返してる
    ネタバレ
    2025年3月16日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 大島かもめ先生にハマるきっかけになったのも、初めてオジ受けの魅力に気付かせてくれたのもこの作品。最近の作品に比べると絵柄に癖があり、話運びもぎこちない感じですが、私はそこがすっごく好きです。先生の作品の中で一番好きかも。
    20歳の大学生、秀一郎に熱烈な求愛を受けるのは、42歳の仕立て屋、片山さん。秀一郎はアプローチの方向が明後日なので片山には全く相手にされず、辛うじてセ●レの座をもぎ取ったはいいものの、全然恋人として見てもらえない。しかし!秀一郎は考えも甘く言動も子供っぽいんだけど、メンタルだけは鋼なので、どんなにつれなくされても何度でも立ち上がり思いの丈をぶつけていきます。ひたすらそれがを繰り返すうちに、2人とも自分自身と向き合って、少しずつ心境に変化が表れていく様子が丁寧に描かれていて、とても読み応えがありました。
    片山さんは繊細で傷つきやすい人なのかもしれない、傷ついても直ぐに立ち直れるほど若くもない、そんな彼がいつ飽きて心変わりするかもわからない20歳のボンボンにそうやすやすと本気になれる訳もない。秀一郎と寝るのは「気持ちがいいから」というのも言い訳っぽく聞こえます。エチシーンがとても印象的で、見えない構図でサラッとしてますが、普段は無口な片山さんの全身から彼の正直な想いが伝わってくるようです。何度も試して、自問自答も繰り返して、ようやく秀一郎の胸に飛び込んでいけたラストには、初読み当時片山さんと同じ42歳だった私は、彼の安堵が伝わってきて目頭が熱くなりました。
    あと、「これ笑っていいのかな?」って感じの際どいジョークが物語の至る所に散りばめられており、イギリスが本場の仕立て屋との恋の演出に一役買っていました。2巻番外編に出てきた遊園地のマスコット。無邪気に名前を叫んで一緒に写真を撮ってもらう秀一郎でしたが、さりげなく不安を煽ってくるところ、タダモノじゃないですね。「ロウゴ・コドクダーネ三世(42)」ご丁寧に名前に年齢まで含まれていて思わず吹き出しましたが、「これって私のことでは?」と一瞬で現実に引き戻されました(笑)
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  • お前に抱かれるなんて聞いてない!~ハマった男はAV男優【単行本版/電子限定おまけ付き】

    夏原サイケ

    読み始めたら止められない
    2025年3月14日
    大昔に単話のタイトルと表紙を見てスルーしていた作品が、気付けば単行本で6巻も出ててレビューも高評価で「そんなに面白いの?」と気になり試し読みしたらノンストップ!そのまま息をするのも忘れるほど夢中で読みふけってしまいました。ちゃんと読めばこのタイトルしか考えられないくらいのベストなタイトル。最初は主人公2人の目つきが苦手だったのですが、エロいシーンではこの目つきが超ど級の威力を発揮していることに気付き、それからは全く気にならないどころか、目を見るだけで何の変哲もないシーンでもエロく見えてくるようになりました。
    受けの名取君から目が離せなくて、彼の全てが私の性癖にクリティカルヒットしてくるので、子宮がギュンギュンしすぎて潰れるかと思った・・・。4周目辺りからようやく思考が復活し、話が入ってくるようになりました。2人が少しずつお互いを知り、関係を深めていく過程が丁寧に描かれており、感情移入もしやすいです。エロシーンの描き方が本当にお上手で、売れっ子AV男優という設定が見事に表現されていると思いました。すごくテンポの良いお話で、Hも多くて、あっという間に読めてしまうので、6巻あっても何度も読み返せます。そして何度読んでも色褪せないエロさがあるんですよね~。
    割と早めに付き合うことになった2人だったので、最初は2人の間にあんまり愛情を感じなかったのですが、巻を追うごとになるほどな~というエピソードが沢山出てきて、特に名取じゃなきゃダメだと思う瀬尾の気持ちが理解できるようになりました。
    エロだけじゃなく、話の構成や心情描写も分かりやすくて読みやすい。性癖に刺さらなくても楽しめる作品だと思います。私の様にタイトルと表紙でスルーしちゃった過去をお持ちの方は是非試し読みされることをお勧めします!
  • 小泉先生はみだされたくない

    はなさわ浪雄

    作者買いです
    2025年3月13日
    はなさわ先生の作品に出てくる受け君は、いつも本当に可愛くて、この世のモノとは思えないです。小泉先生に対して「なんだこのかわいいいきもの」と言う鰐淵先生のセリフには激しく共感。「こんなの地球に生息してたんだ!」っていう貴重生物発見の驚きと喜びが伝わってきます。
    過去を引きずっている小泉先生がトラウマを乗り越えるまでを描きながら、小泉先生自身や鰐淵先生の人となりを自然に読者の腑に落とし、お互い惹かれ合うのも分かるな~ってなったところからの初Hは最高でした。鰐淵先生も読者も最後まで焦らされた甲斐があったと思われます。特大の大花火が打ち上げられる夜空をバックにするなんて粋ですね~。
    はなさわ先生の作品は4作目なのですが、どれも読後の満足感がすごいんです。短編まで例にもれず。なんでかなぁと思って読み返していて気付いたのですが、読者の呼吸に寄り添うように漫画が描かれている気がしました。普通なら省く一コマを敢えて入れている感じがして、追い立てられることなくゆっくり読んでいけるんです。逆にそういうのがまどろっこしくて苦手な方もいるかもですが、私は炬燵でぬくぬくしている時みたいな気持ち良さを覚えます。この感覚以前にもあったなと思ったら、マミタ先生のを読んだ時と似てるんですね。動物の使い方がお上手なのも似てる。お二人とも癖になるというか、ず~っと読んでいたくなるんです。あったかくて、気持ちいい~って感じで。
    まだ完結表記されていないので2巻も期待しているのですが、表紙は鰐淵先生が正面を向いた感じになるのかな?1巻は小泉先生がメインで、鰐淵先生はサポート役って感じだったので、逆のお話も読みたいです。
  • シュガーとマスタード【おまけ漫画付きコミックシーモア限定版】

    はなさわ浪雄

    作者買いです
    2025年3月12日
    最初はDomSubかなと思ったのですが、SとMの欲求が満たされることを重要視した社会のお話で、この作品独自の設定でした。SとMがパートナーとなり互いの欲求を満たし合う制度を社会が後押ししていて、それは恋人や結婚相手とは別に持っていてもよい関係。これのお陰で犯罪が随分減ったとか、そういう視点も興味深かったです。少し変わった設定でも、当たり前のように話の展開に集中できるのは、はなさわ先生の成せる業。話の流れに合うように、自然と設定が理解できるように話が作られている感じがしました。
    Sの聖司とMの雅親がマッチングで紹介されて出会い、そこから関係を育んでいくお話でしたが、SとかMとか関係なく、パートナーとの関係を、こんな風に試行錯誤しながら丁寧に進めていけるなら、素晴らしい関係を築けるのではと思いました。その結果別れを選択するカップルもいるかもですが、共に過ごした時間はその後の人生の糧になると思います。こういうことって、どうでもいい相手とはできないこと。相手が好きで、どうしてもこの人がいい!っていう執着があるからこそ、ぶつかり合ってしんどくても、面倒くさくても、話し合って何としても擦り合わせて、より良い未来に繋げたいって気持ちになれるような気がします。
    番外編も読みましたが、とっても良かったです。お仕置き&ご褒美Hのお話でしたが、本編を読んでいる時から、私は雅親が感じている顔が好きでした。気持ち良さや満たされ感が伝わってくる表情が、すごくいいなと思います。それがたくさん拝めるありがたいお話でした。
  • 淫魔じゃないのに!

    はなさわ浪雄

    表紙買い
    2025年3月11日
    ごちそうΩを読んではなさわ先生の他の作品を探していたら、すでに持っていたのがこちらの作品。表紙があまりにも可愛くて衝動買いした後、放置されていた模様。さっそく読んでみたら、なぜすぐに読まなかったのかと悔やまれるくらい良かったです。
    表紙のベル男に惚れて購入しただけあって、どのページもどのコマも、ベル男がいれば「か、かわいい・・・」と思考が停止してしまい、特別かわいいカットにはキュンキュンしすぎて涙が滲むくらい私の母性本能は測定不能レベルに陥りました。
    そんな状態で読んだので、一読目はストーリーが全く入ってこなくて、なんかクズい攻めと愛の無いHをしている印象しか無かったのですが、最後の描き下ろしに意外な匂わせがあって、その上でもう一度読み返すと、2人のやり取りが全然違う意味合いを持ち、愛が無いなんてとんでもない!ベル男の可愛さに目がくらんでいた私は、とんだ見当違いをしておりました。隅々まで愛に溢れた素敵な物語でした。後半のベル男の兄とその元親友のお話も、前半に負けないくらいすごく良かったです。短編も綺麗にまとまっていて、読後感がすごく良い!はなさわ先生はお話を作るのがとってもお上手だと思いました。
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  • Levius/est[レビウス エスト]

    中田春彌

    Levius新装版からの続き
    2025年3月7日
    カラーもモノクロも、とにかく雰囲気のある趣深い絵を描かれるので、眺めているだけでも買ってよかったと思います。お話の方も壮大で、扱っているテーマも深いので読み応えがありました。ただ、物語の厚みに対して巻数が足りていない感じがしました。途中までは良かったのですが、ラスト2巻でいきなりNo.2のアーサーが出てきてから全てが説明臭くなり、置いてけぼりをくらったまま迎えたラストも微妙な感じでした。
    格闘シーンは迫力があって、大勢の拳闘士だけでなく、星の数ほどいる観客の一人一人も丁寧に描き分けられており、背景まで全て作者様自身が描かれているのではと思われます。この作品に対する作者様の愛と情熱を感じました。物語の設定なども「よくこんなことを思いつくなぁ」と思うくらい細かいところまで考え抜かれていて感心しました。それだけに、もう少し要所要所を掘り下げられるくらいページ数に余裕があったら、凄い大作になっていたのではと思えて、もったいないなと思いました。
    私は察しが悪い方なので、まだ気付けていない部分もあると思います。何度も読み返して作者様が何を描きたかったのか感じ取れたらと思いました。
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  • Levius 新装版

    中田春彌

    絵柄に一目惚れして購入
    2025年3月4日
    物語の雰囲気と絵柄がしっくり馴染んで、本当にこの世界があるかのような錯覚に陥ります。蒸気が技術の中心になっているところが大きな違いとしてありますが、基本的なことは私達の世界と似ているので、一見複雑そうな設定も、2~3回読み返せばなんとなく背景は理解できます。かなり細かいところまで綿密に設定がなされている感じがして、こんな世界を創り出せる中田先生は本当にすごいと思いました。上下巻共に300ページ以上あり、左開きで少々読みにくいですが、先が気になりどんどん読み進めていけました。続編のエストも読もうと思います。まだ序章にすぎない印象ですが、ここからどんな展開になるのか楽しみです。
  • ホンノウスイッチ

    KUJIRA

    最高だった・・・
    2025年3月2日
    幼馴染設定が大好きで、人一倍幼馴染モノを読んできましたが、これはベスト3に入るくらい良かったです。こういうのが読みたかったんだよ~って悶えました。
    聖と小和カップルの尊みが凄まじくて、ただただ2人には幸せになって欲しい!って心の中で手を合わせながら祈りながら読んでました。だから、最終巻を詠んでいた時、話が思わぬ方に展開していった時には「え!何で?どうして?いやぁぁぁーー!」ってなって胸が張り裂けそうになり、不覚にも泣いてしまうくらい取り乱しました。そこで初めて自分がこの2人に相当入れ込んでいることに気付き、驚きました。作者様の話の運び方がめちゃくちゃ上手くて、知らぬ間に作者様の手のひらで転がされていたんですね~。貴重な体験ができました。ありがとうございます。
    ここまでハマってしまったのは作者様の話運びの上手さ以外にもう一つ心当たりがあり、恐らく聖というキャラのせいかと思われます。このガチャピンを思わせる目元のヘタレ男子が男気を見せるところにグッときて、もう応援せずにはいられなくなります。幼馴染モノに興味がない方でも十分楽しめるしキュンキュンできるお話だと思うので、1巻試し読みして気になった方は是非続きも読んでみて欲しいです。
    ちなみに番外編の榎本君のお話も、良かったです。榎本君にはそれほど興味なかったけれど聖と小和が出てくるだろうからとりあえず読んでみたのですが、思ってた以上に読み応えがありました。本編では描かれなかった榎本君の魅力に気付けたので、また1巻から読み直したらまた違う見え方をするんだろうと思います。
  • ごちそうΩはチュウと鳴く【コミックス版】

    はなさわ浪雄

    盛りに盛られた設定
    2025年2月23日
    獣人モノで完全に獣の姿になる作品はいくつか読んだことがありますが、はなさわ先生の描く動物は、先生の動物に対する深い愛情を感じます。ネズミは本当に愛らしくて、大福にしか見えなくて、私でも食べたくなりました(笑)狐は常に何か企んでいるかのような狡猾な感じがよく出ていて、そこを魅力的に見せているところがすごいなと思いました。狐ってこんなにカッコ良かったんだな~。
    獣の姿の時の良さは、そのまま人間の時にも反映されていて、特に宇賀野の狐目は素晴らしかったです。いかにも腹に一物持ってますと言わんばかりの胡散臭い糸目。うっすら見える瞳が怖いくらい。糸目が大好きな私は、たま~に拝める瞳にキュンとするのですが、宇迦野の場合はゾッとしました。いかなる時も本能的に食べようと狙っているのがひしひしと感じられ、終始緊張感があってドキドキさせられました。といってもコメディ要素も多くて、その辺の塩梅が絶妙だからかドンドン引き込まれていき、詠む手が止まりませんでした。
    あと、宇迦野の胡散臭さと誠実さのギャップがたまらなかった!見た目からして何を考えているのか分からず「なんか怪しい攻めだな~」って疑っていたところに、あんな誠実さを見せられたら、もう落ちるしかないですよね。すっかり宇迦野さんに夢中です。また一方で受けのさちおは自虐的なことばかり言ってはいるものの、ある意味悟りの境地に近いのでは?と思いました。仏のように慈悲深い人だなあという印象。ネズミのオメガとして生を受け、今まで生きてきたからこそだろうと思いますが、呼吸するように人に優しくできるところが素敵だなと思いました。この2人、ずっとずっと見ていたいくらい大好きです。
  • イノサン Rougeルージュ

    坂本眞一

    人間なら誰でも内包しているもの
    2025年2月13日
    とても正気の沙汰とは思えない残酷な処刑がなされたり、街中なのに戦場の如く隣人と殺し合ったり、かなり残酷なシーンが最高レベルの画力で描写されているので、受け付けない方が読んだらトラウマになるのではないかと思います。ただ、私にとってはグロイ描写よりも、この作品に描かれている人間の闇の部分の方がよっぽど目を背けたくなりました。現代の日本に生まれ育った私には、人間がここまで醜悪で愚かな行いをするなんて想像できないけれど、私だって同じ時代に同じように育てば、似たような行動をしていたのだろうと思います。そう思うと、誰かが自分を攻撃してきても、その人の言動は成るべくしてなっただけで、その人の中の無垢で純粋な魂があるのだと思える気がしました。そうやって一人一人の心が平和になれば、世界もいずれ平和になるんだと思いました。なんとなく希望が感じられない世界情勢でも、フランス革命の地獄のような状況から現代を見れば随分人間も成長したように思えます。物語の中でも、演出として時々現代の描写が出てくるのですが、作者様もそんな気持ちで未来に希望を感じて描かれたのかなと思いました。
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  • イノサン

    坂本眞一

    ただただ圧倒される
    2025年2月13日
    絵が、絵が~!!なんかもう上手いを通り越して生身の人間がそこに居るかのようです。飛び散る血も臓物も、目を背けたくなる描写でも、あまりの美しさに無になって凝視してしまう自分がいました。どうやって描いていらっしゃるのか、一部始終を情熱大陸とかでドキュメンタリーにして欲しいです。数えきれないほどの貴族達が集まるシーンでも一人一人違うデザインのドレスや装飾品を身に付けているし、背景や小道具まで徹底的に描き込まれていて、想像を絶する仕事量だったのではと思いました。
    一読目は絵に圧倒され過ぎて内容が入って来ませんでしたが、再読を重ねるごとにストーリー自体にズブズブとハマっていきました。本当に奥の深い物語です。イノサンは兄のシャルル、イノサン Rougeは妹のマリージョセフが主体ですが、全体として兄妹のダブル主演でフランス激動の時代をサンソン家の視点から描いている感じです。ストーリーの感想はRougeの方のレビューに書こうと思います。
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  • みにあまる彼氏

    ほしの瑞希

    いろいろ振り切れてる漫画
    2025年2月4日
    一般的な少女漫画の高校生モノとはちょっと違って、イベントとかはちゃんと定石を踏んでいるんだけど、転がる先が斜め上の方向なので、毎度意表をつかれました。
    正直言って主人公の2人は理解しがたく感情移入や共感はしづらかったけれど、その分展開が予想できなくて意外な行動に出る2人が見ていて楽しかったです。ラストも高校生モノでここまで到達するカップルは珍しいので、そんなところも2人らしいなと思いました。
    日下部君は闇が深すぎて、いろはは天然が過ぎて、二人がイチャコラしていても全くキュンキュンしませんでしたが、とにかくずっと笑わせてもらえたので、個人的にはこの作品をラブコメというよりコメディとして認識しています。
    主人公2人がいろいろ振り切れているキャラなのに、更に脇役達まで輪をかけてあらぬ方向に振り切れていて癖が強かったです。みんなが集まるとカオス化しますが、崩壊はしないという絶妙な匙加減も良かったです。
    王道にときめくのも好きだけれど、たまにはこういう少女漫画も面白いなと思いました。
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  • 好みじゃなかと【SS付き電子限定版】

    見多ほむろ

    3巻読めて幸せ~
    2024年12月31日
    山中梅鉢先生が別名義でBL描いていらっしゃると知り、シーモア島で質問したら、親切な方々が見多ほむろ先生だと教えて下さり、オススメはこの作品だとのことで買ってみたら大当り!あの時答えて下さった皆様に感謝です。他の作品も読ませて頂きましたが、ほぼハズレ無し。大好きな作家さんの一人です。先生の作品はどれも好きで甲乙つけがたいですが、やっぱりこの作品が一番好きかな。まさに私の好みドンピシャな受けで「こういうのが読みたかったんだよ~」と悶えました。攻めの中年っぽさも性癖をくすぐられます。主人公が立場上、割としんどい思いをするので少しヤキモキしますが、それも恋愛の良いスパイスとなる感じで読後は大満足!買った当初はエンドレスループに陥るほどハマりました。
    2巻発売から随分経ち、3巻はもう出ないかなと諦めていたところに新刊通知を見た時は思わず驚きと喜びで声が漏れました。しかもまだ続くっぽいので、すんっごく嬉しいです!方言なのも良いし、お仕事の方にも比重を置いて話が構成されているのも良いです。仕事に情熱を注ぐ男は見ていてカッコイイ!続刊が楽しみです。
  • Happy Birthday ちとせくん【電子限定描き下ろし付き】

    上野ポテト

    作者買いです
    2024年12月31日
    どう言葉にしたら良いのか、自分の表現力の無さが恨めしい!もうとにかく良かった!全てが最高でした。上野先生の作品は初めてレビューしますが、いくつか読ませて頂いており、毎度良い意味で裏切られ、読後はパズルのピースがピタッと全部ハマって完成した時のような爽快感を味わえます。作品を構成する全てに無駄なものが一つも無い感じ。本当に凄いと思います。過去作は、淡々と心を抉ってくるお話が多かった印象ですが、今作は高校のエピソードを20歳の誕生日に思い出す主人公のお話だったので、ヒリヒリ感や痛々しさよりも未知数な可能性や前に進むエネルギーを感じて、ワクワクや希望の方が勝りました。あと話の筋とは関係ないですが、上野先生の少し癖のある絵柄が、癖を残したまま洗練されてきた感じがしました。私は癖のある絵柄が好きなので、癖を残したままなところが嬉しかったです。
    初読み時はネタバレ無しで読む方が楽しめると思いますが、結末を知った上でも何度も読み返したくなる味わい深い作品だと思います。私もこれから何度も読み返すと思います。
  • マチネとソワレ

    大須賀めぐみ

    14巻まで読了
    2024年8月20日
    このお話に出てくる登場人物達は、自分の欲求に忠実で自己中な人が多いので、常に誰かしらがバトルを繰り広げており、暑苦しいんだけどエネルギーのぶつかり合う様は見ていて爽快です。実生活では抑えないと社会で上手くやっていけないからコントロールしているけれど、本当は思い切り言いたいことぶちまけられたらいいのにって思っている人にうってつけの作品だと思います。私は演劇に興味がないのですが、そんな私でも舞台見に行ってみようかなという気持ちにさせるスゴイ演劇漫画です。
    兄の御幸も狂ってる感じが最高で大好きなキャラなのですが、私は主人公の方に更に魅力を感じました。普通なら他人に知られたくないような剥き出しの欲望を堂々とぶつけてくるところが痛々しいの通り越して尊敬してしまいました。私なんて自分のそんな欲望を直視すらできていない気がします。
    兄弟のバトルの勝敗の行方や、元の世界に帰れるのかという問題がどうなるのかラストまで目が離せないです!
  • 炎の魔法使いは氷壁の乙女しか愛せない 魔女は初恋に熱く溶ける

    クレイン/ウエハラ蜂

    娘と孫
    2024年8月15日
    前作主人公のアリステアとララの娘リリアと、ルトフェルとニコラの孫のルイスのお話。前作程の感動は無かったけれど、初々しい二人が結婚するまでの軌跡はとても面白かったし、何より前作主要メンバー達のその後が読めて嬉しかったです。一つ分かりづらかったのは、リリアの前世って、三百年前に結界を張った大魔術師なのかな?なんか中途半端に匂わせただけで終わっていたのでモヤモヤしました。
    この世界設定なかなか個性的で面白いので、もっと続いて欲しいなと思いました。
  • ヤンデレ魔法使いは石像の乙女しか愛せない 魔女は愛弟子の熱い口づけでとける

    クレイン/ウエハラ蜂

    めっちゃ良かった!
    2024年8月14日
    コミカライズを試し読みして面白かったので、原作を読みたくて購入しました。アリスのララに対する想いの深さは常軌を逸しているようにも見えますが、彼が歩いてきた人生を思えば、ララだけに執着するのも当たり前のように感じました。例え自分が生きている間にララが目覚めなくても、彼女が夢見た世界を作って目覚めたときに喜んでもらいたい、弟子の功績を知ったら誇らしく思ってくれるかもしれない。それを生きる希望に20年生きてきたなんてっ!ここの下りは泣きました。ララのアリスへの想いも恋愛ではなくてもとても深くて、それが基盤になっているからか、ただの恋愛を描いたTL小説と違い、Hばかりに意識が持っていかれず、全体で大きな愛の物語という感じがありました。とても読みやすい文章で、無駄なところもなく、かといって説明不足で迷子になることもなく、ストレスフリー。凄く良かったので、二人の子供が主人公のも読むつもりです。
  • 29歳・地味局の突然なモテ期【単行本版】

    高山ねむ子

    人間ここまで変わるものなのか
    ネタバレ
    2024年7月8日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 冒頭の大利根君のあり得ない言動の数々に主人公と一緒にドン引きし、正直こんなヒーローの物語読んでも面白くなさそうって思っちゃったんですが、なんとなく続きが気になって読み進めたら意外にも最後まで楽しませてもらえました。大利根君の頑なな部分が鈴原さんと付き合うことで柔らかくなっていって次第に言動がまともになり、終盤は同一人物と思えないくらい良い男になっていました。ヒロインの鈴原さんも大利根君と付き合うことで良い方向に大きく成長して、二人の愛の育み方が素敵だなぁと思いました。後半は成長した二人で問題を乗り越えていく感じだったので、特に読み応えがありました。毎回同じようなHなのでTLとしては物足りなさもありますが、エロ以外の要素で読ませてくる、どちらかと言えば女性漫画カテゴリに分類しても良さそうなお話でした。
    当て馬の部長さんの番外編も面白かったです。酔っ払って寝ているところを何度も襲われてるのに気付かない男性なんて有り得るのか?とも思いましたが、女性側が襲われるのはTLに良くありますけど、男性バージョンは初めてだったので新鮮でした。
  • 恋をしたらこんな顔【電子限定描き下ろし付き】

    たつもとみお

    作者買いです
    2024年6月25日
    設定や話の展開は良くある感じですが、たつもと先生の手にかかると味が出て、噛むほどに美味しさが増すスルメのような作品に仕上がっていました。ラブする二人はどっちも良い子でしたが、私は攻めの航平の性格が好きでした。同性なら友達になりたいくらい人として魅力的でした。
    航平と蒼太の仲を阻むものは人間・出来事問わず一切無くて、自分に自信のない蒼太が順調過ぎる現実に不安になり航平を信じられず自滅していく過程が重点的に描かれているところが興味深かったです。
    二人の人となりが分かりやすいので、どの言動にも違和感がなく、しっかり感情移入して最後までドキドキハラハラを楽しめました。
  • 明治従属タングステン

    たつもとみお

    作者買いです
    2024年6月15日
    はぁ~、最高だった。これはいい!明治という時代背景とか主従関係とか技師のお仕事とか、萌えが萌えをよんで大渋滞!「日の当たらない場所」もすごく良かったけれど、こちらは個人的に萌え要素が鮨詰め状態だったので、それをたつもと先生の麗しい絵と素晴らしい構成で読めて幸せでした。前作もそうですが、主人公のお仕事や社会的な関わりなどの描写に力を入れているからなのか、恋愛が人生の一部分としての自然に存在している感じがします。感情移入がしやすいので、登場人物と共に一喜一憂しながら物語を楽しめました。
    印象的だったのは、エドが推定年齢17~18歳のイギリス人という設定でした。まだ発展途上の身体でも、日本人と比べるとずっと筋肉も逞しくて、骨格もゴツくて、体温も高くて、、、と脳内でどんどん妄想が膨らみ大興奮!あと相当アレが大きいだろうに、それを匂わせるだけでデカさを強調しないところが奥ゆかしくて良かったです。そんな若々しく精気溢れるエドに対して、27歳にして既に枯れてる感のある亮二が受けというのも私の性癖に刺さりました。
    装丁もレトロな感じで美しく、色気を纏ったイケメンが物憂げにこちらを見つめていて、もう表紙見ただけで購入を決めても問題ないくらいですが、中身も最高なので是非気になった方は読んでみて下さい。
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  • 日の当たらない場所

    たつもとみお

    作者買いです
    2024年6月14日
    たつもと先生のお話は、穏やかで明るい中にしっとりした落ち着きも感じられて、その塩梅が好きなのですが、こちらは苦い過去と厳しい現実がシビアで、ラスト近くまで重く苦しい空気が続きました。予想以上に暗くて失敗したかな?って思ったのも束の間。主人公の寛也が何かもう凄い頑張るんですよ。完全に拒絶され希望の光は潰えてしまったように見えた時でも、最後まで諦めずぶつかっていく姿に感動しました。頑なな人達の心を動かす存在として説得力がありました。少年漫画の主人公みたいに力業で闇雲にぶつかっていく訳じゃなく、かといって合理的にでビジネスライクな接し方でもなく、寛也の物事の運び方には愛を感じました。BLなので、恋愛の方もしっかりありますが、それ以上に家族の愛や故郷への愛など、色んな愛が描かれていて、そのすべてが絡み合って綺麗に一つにまとまっているから凄いです。そしてそんな健気で頑張り屋さんの寛也が、好きな人の前では無自覚に弛んでめっちゃ可愛い&エロいので、そっちも十分満足できました。メガネのオンオフにキュンとしました。タイトルと表紙でジメジメ暗そうな印象からスルーしちゃったら勿体無い、素敵作品だと思います。
  • 1/365の恋人

    たつもとみお

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年6月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ たつもと先生の作品はTLや少女漫画から入りましたが、たつもと先生の描く男性キャラは何とも言えない色気があって、女性キャラを食ってしまう程に思えたので、その点BLは相性抜群。まずネコネコを読んでその確信を得たので、作者買いしていくことを決めました。
    こちら先生にとって初めてのBL作品とのこと。目の保養が当初の目的でしたが、物語自体も楽しめました。同級生のノンケ颯に恋しちゃったゲイの隆史がこの恋を十年引きずって、いい加減諦めようと決心したところから物語が展開していきます。設定としては良くある感じですが、興味深かったのは、颯の言動。隆史の告白を断った癖に、好きな人ができるまで年に一度デートしてやるって何なんだ?無自覚に酷いことするなぁと、私の最初の颯の印象は最悪でした。その後も、何かにつけて隆史に対する反応がフワフワしてるんですよね。ちゃんと颯目線でも描かれていているのに、最後まで何を考えてるのか分からないままでした。それがカバー下のオマケ漫画読んだ時、全てが府に落ちたんです。照れると身体のどこかを触りながら「あー」とか「おー」とか言う男いるいる!てかうちの父親が正にそれでした。典型的な日本人男性の不器用さを颯に感じました。颯って、イケメン設定の割には顔に締まりがなくて、私的には言動と相まって残念極まりなかったのですが、颯の内面を理解すると、この顔が妙にしっくりきます。そうして改めて読み直すと、颯の言動は戸惑いながらも隆史を傷付けないように気遣う、男性特有の分かりづらい優しさが見てとれて、印象が変わりました。確かに、同性愛に対して偏見も嫌悪感もなくても、ずっと他人事として生きてきて、いきなり当事者になった時、心がついてくるまでに十年位かかっても不思議じゃないかもしれません。BL読んでいて珍しく、自分だったらどんな反応になるかなぁと考えていました。
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  • さよなら恋ヶ窪

    波真田かもめ

    作者買いです
    2024年6月11日
    波真田かもめ先生の作品は、まだ全部読んだわけでは無いけれど、これは先生の魅力を凝縮したような作品だなと思いました。刺激的な要素は一切無いし、私の性癖にはかすりもしないけれど、「読んで良かった!」としみじみ思えて、読後はしばらく浸れる味わい深いお話でした。
    拓人と春美、それぞれがどんな人間でどう生きてきたか、描写されてないところまで読み手に推測させてくれるので、ただの名も知らぬ隣人同士だった二人が惹かれ合うことに違和感がなかったです。理解しようとしなくてもスッと人物の感情が伝わってきました。個人的に印象的だったのは3話。初めてキスの先に進もうとする二人の一連の会話。からの翌朝の拓人のセリフ。これは拓人に全部持っていかれましたねー。不意討ち食らって、ギュン!ってなりました。これだけじゃなく、拓人くんは不意討ちが過ぎるですよ。春美じゃなくても「モテるでしょ?」って言いたくなります。
    自己肯定感が地の底まで落ちていた拓人が、春美と付き合う中で、ありきたりで平凡な日常をいとおしむようになり、自分自身をもありのまま受け入れるようになっていく。その様子を見守るように読んでいくうちに、きっと誰もが意識しなくても、そのままの自分を生きているだけで誰かを勇気づけたり喜ばせたりしてるんだろうなと、私の心までとても穏やかで優しい気持ちでいっぱいになりました。
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  • 放課後はちみつ【単行本版】

    波真田かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年6月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ もうこれは満夫が可愛すぎて悶えました。なんなの、君?中二っぽい痛さまで可愛く思えて、やることなすこと心の声まで全てがいとおしいんですけどぉ!
    授業中のケガで接点を持った満夫と蜂谷。それまでは満夫が一方的に目で追っていただけでしたが、それ以降満夫に興味を持ち、グイグイ攻めてくる蜂谷。最初読んだ時は、蜂谷が何を考えてるのかモノローグが全然無いので分からなかったけれど、書き下ろしの「ハチヤの目線」を読んだ後に再読すると、モノローグなんかなくても蜂谷から色々駄々漏れていて、思わず笑ってしまいました。ラスト近くで蜂谷が満夫には振り回されてばかりだったと告白するところ、割と意外だったというか、何でもそつなくこなしているイメージの蜂谷だったので、急に可愛く思えてきて、「なんだよ、二人とも可愛いかよー」ってなりました。
    最後までテンポ良く駆け抜けるように読めて凄く気持ち良かったし、アオハルの甘酸っぱい恋を存分に楽しめました。おすすめです!
  • 地上100メートルで、逢いましょう

    マミタ

    作者買いです
    2024年5月21日
    2作品収録されていて、一つ目は大企業を若くして継いだイケメン環と窓拭き職人陣のお話。一般的な感覚とはかなりずれている環の心情を、言葉ではなく絵や画面全体を使って表現していて、共感しづらいところの理解が補われて読みやすかったです。陣の方は「そりゃそういう反応になるよね」と隅々まで分かりやすいキャラだったので、そんな彼がどうほだされていったのかも見物でしたし、自分の感情の認識が雑な環が、陣への想いと向き合うことで変化していく様子も見応えがありました。あと、環を信じてあくまでも見守ることに徹した秘書の滝山さんも素敵でした。
    2つ目のお話はタイトルまんまな二人のお話。受けのみいさん、見た目は全然可愛くないけど、反応や思考回路がいちいち可愛すぎて、そのギャップがたまらない。攻めの渉、見た目は溢れんばかりの色気を纏う長身のイケメンなのに、ちょっぴり寂しがりでお祖母ちゃんっ子。見た目とは裏腹に中身はフツーで子供っぽいところもあり、こちらもギャップ萌えでした。かなり年下のワンコ×枯れ始めたオジサンの組み合わせ、好きだな~。ストーリーは攻めも受けも可愛すぎかよぉ~ってなる、シンプルで短くても満足感の高いものでした。私はどちらかといえば2つ目のお話の方が好きかなぁ。
  • ギンモクセイの仕立て屋

    マミタ

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年5月19日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 仕立て屋さんのお話って、何故だか艶っぽく感じてしまうのですが、だからなのか(?)自然と目にとまります。こちらも以前から気になっていた作品でしたが先送りにしていて、「え、これもマミタ先生のなんだ!」と、やっとこさ購入。この作品も受けが本当に可愛くて愛しくて、食べちゃいたい!って思いました。張り詰めた空気のシリアスな場面の合間に、頻繁に差し込まれる抜けた感じの絵が、程よく読み手の肩の力を抜いてくれて、マミタ先生の作品はとっても読みやすいです。視覚から入ってくる情報もシンプルで明確なので、意識せずとも人物達に感情移入できて読み応えもあります。
    攻めの灯生は外も中もスペックが高い上に情熱のある努力家。人生上手くいっていた矢先、仕事でトラブルを起こして初めての挫折を経験。自分の原点を改めて問い直していたタイミングで、受けの生吹と出会いました。生吹はその時、人生万事上手くいかずドン底でした。しかし灯生と出会い、祖父から受け継いだ仕立て屋を立て直していく中で自分自身と向き合い、変わる決心を固めると物事はどんどん上手くいくように。物語はそんな感じの流れでしたが、正反対の二人が関わり合うことで刺激を与えあって、それぞれが抱える内面の問題を乗り越えていくというお話が私は大好きなので、めっちゃツボでした。「あぁ、なんか良かったなぁ」って読後は胸が熱くなり、「私も明日から頑張るぞー」ってなります。今回もそんな気分に浸っている正にその時、本編ラストで二人が全身収まるページの隅に、ぎんさんとゴトウさんを見つけた時は、圧倒的な異物感に思わず吹き出して、力が抜けてしまいました。も~!こんなのマミタ先生しか描けないよー。
  • となりのメタラーさん

    マミタ

    作者買いです
    2024年5月18日
    以前からこの表紙とタイトルには無性に惹かれていたけれど、買わないまま放置していた作品。マミタ先生のだと気付き即購入。良かった。めちゃめちゃ良かった。マミタ先生の描く受けの可愛さよ。特にこの荘志くんは反則でしょ。今時こんな純粋で優しい人いるのかね?でも存在してそうな気がしてくる生い立ちだったりして、何とも言えない気持ちになりました。恋に落ちる前、出会って一年で熟年夫婦みたいな空気感を漂わせていた二人が、お互いの好きを確認し合うところまできた時は、なんか人生ドラマを逆再生してるみたいで面白かったです。荘志は自分を守る鎧を脱いでも良いと思える人に出会えて、これからどんどん変わっていくだろうし、遣斗は遣斗で荘志との接し方を見る限り、先生になったら園児に寄り添う素敵な先生になるんだろうなと勝手に妄想していました。雪国のお話って見た目は寒そうなのに、静かにじんわり心が温まるものが多い気がします。この作品も正にそれ。ジャンル関係なく色んな人に読んでもらいたいと思いました。
  • 40までにしたい10のこと

    マミタ

    溺愛されるアラフォー
    2024年4月29日
    ドラマチックで派手な感じではないけれど、登場人物達の心情がじんわりと、でも確実に心に染み込んできて、読んでいる時はそれぞれの感情が混ざって、何とも言えない複雑な感じでした。何でこんなにそれぞれの心情が伝わってくるんだろうと考えましたが、一つ思い付くのは表情の描き方の素晴らしさかなぁ。キメ顔にはしばらくページがめくれない程の威力がありますし、雀が虚無の時の顔みたいなギャグ顔には毎度吹き出してしまいました。でも私が特に印象的だったのは何気ないふとした表情。セリフなくても表情だけで感情の微妙なところまで語っている気がしました。
    あと、細かい演出が巧みだなと思いました。ぬいぐるみなどの小道具の使い方もそうですが、見せ場で背景が真っ白になるところとか、大胆な構図とか、キャラ数が少ないのも良かった気がします。
    後書きで「アラフォーが愛されるBLだーーーい好き!」と叫んでいらした作者様、私もです!雀のアレが揺するとふるふるするのが可愛いって思う慶司には激しく同意!マミタ先生の他の作品も読んでみたくなりました。
  • 魔女と野獣

    佐竹幸典

    10巻まで読了
    2024年4月28日
    まだ完結していない作品を鬼リピートすることは滅多に無いのですが、これは永遠に読んでいられます。どのページもどのコマも中世の絵のような美しさで、人物や背景、小物に至るまでギッチリミッチリ描き込まれているので、眺めていると時が経つのを忘れます。そんな視覚から得られる満足感に加え設定が素晴らしく、王道のように見えて全然そうじゃなく、今まで読んできた異世界ファンタジーにはない斬新な設定にワクワクが止まりません。そしてギドとアシャフには妄想が止まりません(笑)ダンウォードも何かくすぐられるものがあります。バトルシーンは迫力がありすぎて何がどうなってるのか分からないけれど、雰囲気が伝わってくるし、見せ場はしっかり分かるように描かれているので大丈夫。とにもかくにも男女問わず全力でオススメしたい作品です。
    2023年3月に11巻発売予定とありましたが、遅れているのかな?早く続きが読みたいです。
  • 殺し愛

    Fe

    登場人物達の過去が切ない
    2024年4月24日
    タイトルが気になって試し読み後、先が気になり購入。最初は絵が苦手だなと感じたのですが、それも一瞬でした。一冊が170ページ前後と若干短めなのもありますが、とにかく勢いのあるストーリー展開で没入具合が半端なくて、全巻読むのに半日かかりませんでした。どんどん明らかになっていく事実が頭の中でパズルみたいにはまっていって、謎だらけの序盤から、終盤に全貌が見え始めるまで集中力が途切れる暇を与えません。登場人物達はそれぞれ魅力的でしたが、私はドニーが印象的で、誰より純粋で情深い人なのに、あんな生き方しか選べなかったことが悲しい。父を守ろうとして銃で撃ってきた少年とドニーが重なって、やりきれない気持ちになりました。あと、ラストのその後が読みたかったので、番外編が出たときはとても嬉しかったです。Fe先生、もっと描いて下さらないかなぁ。
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  • 幼なじみバーテンダーと始める快感レッスン【電子限定特典付き単行本】

    高篠らみ

    2巻まで読了
    ネタバレ
    2024年3月23日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 幼馴染みモノは大好きなので数えきれない程読んできましたが、この作品は付き合うまでの流れがめちゃくちゃ良かった!そして最高だったのは思いが通じあって初めてするところの描写。衛の佳奈への思いがが表情やセリフの全てから伝わってきて感動的でした。初読み作家様でしたが、相手への愛おしさをHの描写で表現する天才だなと思いました。読んでいると私まで愛されてる気分になってきてエネルギーチャージできます。付き合い始めた二人のこれからはどんな展開をしていくのか3巻以降も楽しみです。1巻には短編も収録されてましたが、こういうオマケ的に入ってる短編は可もなく不可もなくといった感じのが多い中、表題作と同じくらい面白かったです。絵もきれいで話も分かりやすく短編ながら読み応えがありました。
  • カラオケ行こ!

    和山やま

    作者買いです
    2024年3月23日
    「夢中さ、きみに」や「女の園の星」ではページをめくる度に吹き出して、もう絵を見るだけでも笑ってしまうようになってましたが、この作品はストーリー性があったせいか真顔になる瞬間がありました。とはいえ、思春期真っ只中の中学生男子と理不尽な893のオジサン達が奏でるハーモニーは抱腹絶倒でした。もう本当に和山先生が好きすぎてヤバイです。続編が読めると知ったときは天を仰ぎました。実写の方も観てみようと思います。
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  • たまゆらの日日

    波真田かもめ

    作者買いです
    2024年3月22日
    このお話好きだな~。激しくときめくような派手さはないけれど、登場人物一人一人が、亡くなった人達まで含め、みんなどんな人となりかが伝わってきて、スーっと感情移入できます。みんな愛に溢れた人ばかりなので、感情移入するほどに、じんわり心にぬくもりが拡がっていく感じがしました。中でも一番印象に残っているのは充の泉水への眼差しです。色んな思いが詰まっているのでしょうが、根底に流れているのは深い愛だというのが伝わってくるので、充が泉水に視線をやるたびにホロリときました。この二人はこの先も死ぬまでずっと、一番近くで時を重ねていくのだろうと自然に思えました。
  • 相愛シネマトグラフ113

    波真田かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年3月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 青春エンドロールの続編ということで、大好きな二人だったので迷わず購入。前作より青春度数高めで、夏樹が自分の将来のことを考えて、一歩踏み出そうかなというところまで、明らかな成長が見てとれて、なんだか私までワクワクしてくる素敵なお話でした。その分いちゃラブは控えめでしたが、夏樹と忍の信頼関係は、曲者ののび多君でも崩せない磐石さ。前作同様お互い自分に無いものを補い合いながらも、依存せず自立した二人であることが、今作を読んで分かりました。「本物とヤれてどうよ?」って聞いちゃう夏樹と、それに素直に答える忍が、めちゃくちゃ二人らしい気がしてすごく良かった!
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  • 青春エンドロール113

    波真田かもめ

    作者買いです
    2024年3月21日
    タイトルからして映画を彷彿とさせますが、最初の数ページ読んだ段階で私は映画館に座っているような気分になって、スーっとこの作品の世界に入って行きました。派手で話題性のあるタイプのじゃなくて、淡々として地味だけど味のあるタイプの邦画です。
    物語は夏樹の視点で語られていきますが、夏樹や忍がどういう人となりなのか、さりげなく、でも丁寧に描かれていて、彼らが自らにないものを補い合うように惹かれ合っている様にとても説得力がありました。この二人に流れる空気は彼等だけのものといった感じが伝わってきて凄く良かったです。
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  • アンラッキーと恋の嵐

    波真田かもめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年3月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 灯と春人の視線が合って、そのまま自然にキスをするところが凄く好きでした。更にそのまま雪崩れ込むエッチも二人の感情の高まりが伝わってきて良かったです。
    春人がアンラッキー体質という設定なのですが、確かに災難ばかりに見舞われて端から見てると気の毒ではありました。でも、灯との関係が客と店員というところから動き始めたのはアンラッキーのお陰であり、その後もアンラッキーが起こる度に二人の仲はどんどん進展していくんですよね。こうなると、何がアンラッキーでラッキーなのか分からなくなります。面白かったのは、二人が一緒に虹を見て嬉しそうに笑ったところから、「古くは虹は凶兆と捉えられていて」というニュースがテレビから流れる下り。結局、良いことも悪いことも起こっていなくて、起きたことを本人がどう捉えたかなんだなと思いました。なんだか前向きな気持ちになれる、素敵なお話でした。
  • スウィートホーム、レモネード

    波真田かもめ

    作者買いです
    2024年3月20日
    人の心に寄り添うって、こういうことだよなぁ。愛はぶっきらぼうに、倫太郎はテキトーな感じで、ちょっぴり落ちている相手の心をそっと掬い上げる感じ。この二人のさりげない優しさが心に染みました。一番印象的だったのは、愛が倫太郎に「生きてて、えらい!」というところ。それなーって思いました。生きてるとつらいことや悲しいこと、絶望的な気持ちになること多々ありますが、それでも私もみんなも生きてて超えらいよね!って改めて思いました。朝起きてえらい!歯を磨いてえらい!一人で服着てえらい!そんなのできて当たり前と思っている事も、実は当たり前じゃないんですよね。愛みたいに、自分のことも周りの人も、もっともっと褒めてあげたいです。
  • スモークブルーの雨のち晴れ

    波真田かもめ

    じんわり染みる
    2024年2月25日
    波真田かもめ先生の作品は試し読みするだけで購入には至らないことが多くて、この作品は試し読みすらしていませんでした。2月のパワープッシュ作品だったので何気なく試し読みしたら止まらなかった!吾妻と久慈の年齢を通ってきた身としては、たとえ自分とは全然違う背景の二人でも妙な親近感というか共感があって、めちゃくちゃ心に染みました。
    最初は久慈が何を考えてるかわからなくて、吾妻も久慈よりは分かりやすいけれど掴み所がなくて、全体的に良く分からないまま、とりあえずページをめくって淡々と読んでいました。でも、二人の人となりが徐々にはっきりしてくると、驚いたことに、セリフもモノローグも表情も無いようなカットなのに、視線一つで気持ちが伝わってくるんです。そこからはもう、一気読み!視線や顔の角度、間の取り方とかで、沢山のことを表現できる素晴らしい作家さんだなぁと思いました。BLではありますが、家族との関わりや人生とどう向き合うかに重点を置いているので、性癖に刺さらなくても読み応えのある作品でした。
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  • めぐみとつぐみ【電子限定特典付き】

    S井ミツル

    ケンカもメンタルも最強オメガ
    2024年2月23日
    タイトルと表紙が超可愛い!と思って試し読みしたら自分の性癖ドストライクでそのまま購入。今まで読んできたオメガバースモノでは出会えなかったアルファを腕力で倒してしまう狂犬受けに驚きましたが、読んでいて爽快でした。つぐみはオメガだからという理由で自分の行動を制限せず、自分のしたいようにしてるところが凄くイイ。痛い目に遭っても、オメガのせいにしない。自分勝手なように見えるけれど、私はそんなつぐみはカッコいいと思うし大好きです。そして恵も見た目はヤンキーっぽくしているけれど、誠実で真面目でつぐみにベタ惚れで、めちゃくちゃキュンキュンさせてくれる素晴らしい攻めです。性癖に刺さるとストーリーが頭に入ってこなくなるのですが、これは単純明快なあるある展開なので、脳が一旦停止して子宮で考えるようになっても理解できて楽しめます(笑)明るく楽しいオメガバースが読みたい方にオススメです。
  • 放蕩息子と恋の穴

    九號

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年2月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ いやー、これも文句なしに面白かった!!九号先生の作品は外れがないなぁ。主人公の攻めが陽キャの自由人なので、全体的にコメディ調で、何度か吹き出してしまうほどでした。一方受けが繊細で思い詰めるタイプで、シリアス担当といった感じでとてもバランスが良かったです。九号先生の描く表情が本当に素晴らしくて毎回感動するのですが、今回のようなアホなギャグ顔でも「これ以外無いよね」っていうベストな表情が描かれていて益々ファンになりました。そんな最強の画力に加え、セリフやモノローグからもキャラ達の心の機微が分かりやすく、まるで私もその場に居合わせて当事者として話を聞いているかのような錯覚に陥ります。最後、病院のベッドでやっちゃうのには驚きました。蒼介は自由人なので置いておくとして、稔がこんな後先考えず行動するなんてよっぽどだったんでしょうね。今まで抑え込んできた分、解放されて溢れてきちゃったのかな。でも後になって反省して落ち込む稔を、蒼介が元気付ける光景を勝手に妄想してしまいました(笑)
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  • ACID TOWN

    九號

    続きが読みたい!
    ネタバレ
    2024年2月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 「羊の皮~」を読んで九号先生の他の作品も読んでみたくなりいくつか購入したのですが、私はこの作品が一番好きです。絵柄を物語の雰囲気に合わせて変えていらっしゃるのか、「羊の皮~」より渋い感じがして、私はこちらの方が好みです。ストーリーも圧巻で、読んでる間中鳥肌立ちっぱなしでした。ゾクゾクしすぎて風邪引いたかと思うくらい(笑)最初は謎だらけで状況がイマイチつかめないけれど、早い展開で色々分かってくるので、すぐに物語の世界に入り込んでいけます。なかなかに複雑な話なので、一回読んだだけでは全体を把握できませんでしたが、それも一度読み返せば大丈夫でした。読み返して全体を理解した時は、もうゾクゾク通り越して震えました。なんかもう、人間が持つあらゆる感情が詰め込まれていて、ただひたすらに切ないんですけど、龍児と椿とユキオの家族の愛が人と人を繋げていて、あぁ!もう上手く言語化できなくて悔しい!とにかく読んでみて欲しいです!任侠もの好きな方には是非とも読んでいただきたい。ジャンルの枠を越えた良作です。7巻が出ないまま随分経つようですが、まだ物語はこれからというところなので、絶対完結まで読みたいです。この続き読めずに死んだら、無念過ぎて怨霊になりそうな勢いで続刊を待ち望んでいます!
  • 羊の皮を着たケモノ【SS付き電子限定版】

    九號

    没入感がスゴイ
    2024年2月19日
    九号先生の作品はBL読んでることを忘れるくらい物語自体の牽引力?のようなものがすさまじいです。何故これほど我を忘れて読めてしまうのか不思議です。イチャラブとかはないのに、この読後の満足感。私は1巻最後のキスシーンがすごく好きでした。希望を感じさせるラストだったし、辰巳と生きていくのは並大抵の困難ではないと思うので、二人が苦しむ姿は見たくなくて、1巻読了時点では続きを読みたいとは思ってませんでした。そんなこと思ってても、2巻が出たと知って我慢できず読んじゃいました。辰巳が見せるすがるような執着に危うさを感じるし、新たな展開が不穏過ぎて、平和な日常どころか二人とも最後まで生きていられるのかな?とすら思えてきますが、怖いもの見たさで続きが読みたくて仕方ない!最後はどんな着地を見せるのか今から楽しみです。
  • 禁愛~獣人オメガバース~【単行本版】

    ともち

    作者買いです
    2024年2月2日
    このカップル、ピュアっピュアだなぁ。恋愛に対してうぶだとかいうよりも、魂レベルでピュア。受けのマヤは何も知らないまま生け贄として死ぬ予定だったからピュアでも問題ないのですが、攻めのバルドは王の嫡男として自分の本音を隠すように生きてきた感じです。マヤと二人の時のバルドは素の自分でいられるんだろうな。どんな形でもいいからマヤを側に置きたいバルドの切実さが伝わってきました。
    すごく好きなお話でしたが、正直もう少しページ数かけて読みたかったです。童話の登場人物のようなピュアな二人の物語は、個人的に大好きなのですが、展開が絵本並みに早くて、その行動に至るまでの心情など随分削られている感じがしました。あとがきで作者様自身嘆いておられましたが、今回は本当にページ数が足りず泣く泣くカットした部分が沢山あるようでした。それ全部読みたかったな~!
  • 従順ビッチLover【電子単行本版限定カバー特典付】

    ともち

    作者買いです
    ネタバレ
    2024年2月2日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 今まで読んできたともち先生作品の攻めの中で一番好きです。嫉妬に狂い始めた時は、毎度お馴染みなクズい男なのかと思いましたが、明るく単細胞な裏表のないイイ奴でした。湊の過去はドロドロしていましたが、これくらいならともち先生らしさを添える程度。そんな過去があるからこそ、海斗に溺愛されて戸惑う可愛い湊が拝めるのだから、元カレのクズ男にはむしろ感謝です(笑)。色々良い方向へ変わっていく彼らに希望を感じるラストも良かったです。
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  • まきちゃんは彼とセックスしたい

    ともち

    作者買いです
    2024年2月2日
    ともち先生の幼馴染みモノは両片思いのジレキュンラブだけに終わらなかった。重なる時はこれでもかというくらい重なるのが不幸というもの。最後のページ、大粒の涙をこぼしながら「よかった」と呟く真希が健気でいとおしかったです。自分のツラさより、修の気持ちを気にするとは。泣けますね。ともち先生の受けってみんな優しすぎる。だから傷だらけになっちゃうんだろうな。高校生という柔らかく無防備な心に深い傷を負った真希ですが、修とのこれからでつらい過去を上書きしていって欲しいです。
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  • 泥沼

    ともち

    作者買いです
    2024年2月1日
    ともち先生のメンタル弱くてダメダメの受け、好きです。何やってんだ、しっかしろよー!って思いながらも、しょうがないな~って受け入れてしまう魅力があります。クズい元カレ光一も良かったな。彼なりの愛があって切なかった。信じられないようなことする人って、その人が生まれつきクズい訳じゃなくて、ただ自分がしてることがどういうことか気付いてないだけということが多々あります。望む結果が得られなかった原因は何か気付くために、光一にはこの体験が必要だったんだなと思いました。光一には今回の学びを生かして、いつか好きな相手と幸せになって欲しいです。おまけページの続き読みたくて仕方なかったです。
  • 二番目の男

    ともち

    作者買いです
    2024年2月1日
    ともち先生の初オリジナル作品で、同人誌で出した物を単行本化したそうです。絵柄が好きなわけでも性癖に刺さったわけでもないのに、すごく話に入っていけたのは心情描写が細やかだからでしょうか。流れるような展開で、あっという間に一息で読めてしまいます。クズい攻めとすがりつく受け。普段は選ばないタイプの話でしたが、面白かったです
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  • GOOD BOY中毒【単行本】

    ともち

    心の柔らかいところにグサグサ刺さる
    2024年1月30日
    律に褒めてもらいたい心の声が、他人事とは思えず、めちゃくちゃ感情移入してしまいました。BL作品では滅多に感情移入しないのですが、好きな相手の犬に成り下がろうとする気持ちわかるな~。冒頭はコミカルな感じだったので、こんなにシリアスな展開になるなんてびっくりしました。1巻読んだ時は辛かったけど、その分2巻で救われて超嬉しかったです!初読み作家様でしたが、心揺さぶられる物語でとても引き込まれました。ともち先生の他の作品も読んでみたいです。
  • 田部さんは食べられたい

    栗崎三号

    6巻まで読了
    2024年1月27日
    陽キャの申し子のような飯田くん。田部さんへのアプローチは理性が飛びすぎてて変態認定されてもおかしくない感じですが、彼ならばオールOK!生い立ちからして下手すればひねくれちゃってもいいところを、歪まず真っ直ぐ大人になれたのは、彼が周囲の愛情を素直に受け取れるからなんだろうと思います。そういう面で田部さんは正反対なので、この二人がどうしようもなく惹かれ合うのも分かるし、共にいることで学び合える気がします。自己卑下は酷いけど、田部さんはめっちゃ良い子なので、トラウマ乗り越えて自由になれたらもっと魅力が花開くのではと思いました。脇のキャラ達も個性派揃いで物語を盛り上げてくれるし、エッチ描写は文句のつけようが無いほど最高なのでTLとしての満足度も高いです。ただのフェチものではないので迷われている方いたら是非読んでみて下さい。
  • 手中に落としていいですか【単行本版】

    くれの又秋

    4巻まで読了
    2024年1月27日
    初めて読む作者様でしたが、思い切り心臓を鷲掴みにされました。
    糸目を見つけたら現実でも漫画の中でも推さずにはいられない性分の持ち主なので、こちらも巳鹿島の糸目に惹かれて購入しました。しかし、物語の最初の方こそ糸目を愛でる余裕があったのですが、すぐにストーリーに引きずり込まれ、ドキドキしながら糸目そっちのけで夢中で読んでいました。
    実を言うと割と終盤まで巳鹿島は裏でヤバい事してるとか、とんでもない闇を抱えている裏の顔があるとか、とにかく「こいつはヤバい奴に違いない!」っていう思い込みが私の中にありました。4巻を読んでようやく、「あ、なんだ、可愛い糸目そのまんまの、めっちゃ良い人じゃ~ん!」って気付きました。いやむしろ、漫画の世界でも滅多にお目にかかれない360度全方位的に良い人でした。優しさや気遣いが完璧すぎて怖いくらいです。だから裏があるように見えちゃうのかな?
    最初は少し絵が苦手かもしれないと思ったり、「どこまで焦らすんじゃ~!」っていつまでたっても進まない関係にヤキモキしたりしましたが、4巻で全てが吹き飛び、私はこれを読むために生きてきたのかもしれないとすら思いました。とにかく昇天しそうなくらい良かった・・・。焦らされた分、余計クルものがありました。その頃には絵柄も「これじゃなきゃ嫌だ!」って思うくらい好きになっていました。
    私は察するのが苦手で、作品によっては「察してください」という空気を漂わせるだけで明確には表現しない部分があったりするので、その度にモヤモヤします。でも、くれの先生はそんな私でも察することができる表現力をお持ちでいらっしゃる。画面上のあらゆる要素を駆使して言葉の部分を補っているので、私のような者にも察することができるんだと思います。大変ありがたいです。特に4巻最後の長い長い2人の絡み。私の中に流れ込んでくる情報量が膨大過ぎて脳みそが爆発するかと思いました。これはもう、とにかく読んで欲しい。みんなに読んで欲しい!!
    やっと思いが通じ合った二人がこれからどんなお付き合いをしていくのか、続編が楽しみで仕方ないです。
  • 正反対な君と僕

    阿賀沢紅茶

    私の心の栄養剤
    2023年12月31日
    氷の城壁に感動して、同じ作者様の新作ということで読み始めました。同じ高校生の日常でも、こんなに雰囲気が変わるなんて。割とシンプルな題材なのに、阿賀沢先生らしい描き方で特別な物語に仕上がっています。読むと元気になるし、読んでる間ずっとニマニマしちゃってるので、一人の時しか読めないです(笑)人を選ばずオススメできる作品です!
  • 発情する運命~エリートαの理性が限界~【単行本版】

    七緒リヲン

    紳士過ぎるヒーロー
    2023年12月30日
    分冊版で試し読みして面白かったので此方で購入。今まで読んできたTL作品の中でも特に好きなものの一つです。王道な設定と展開ですが、序盤から勢いがありグイグイ引っ張られて夢中で読んじゃいました。指でイカされる処女のヒロインがエロいのなんのって。Hシーンも清潔感があるのにエロくてドキドキします。普段は紳士なヒーローが自分を抑えきれない感じなのも好き。運命の番は置いておいても、価値観とか人間性が近い感じがするヒロインとヒーローなので、一緒になるのが自然に思えるところも読んでいて気持ちいいです。早く4巻読みたいです。
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  • ボクはイケメン

    きづきあきら+サトウナンキ

    身近な人の死を無駄にしない
    2023年12月25日
    他に類をみない主人公のせいか、最後にどうなるのかわかりそうでわからず、ラスト近くまでドキドキしながら楽しめました。読んでいる間は登場人物達の言動に随分感情を揺さぶられました。それぞれの長所短所が良く描かれており、反感を持ったり、共感したり。悪役に徹した鮫島さんや蛇沢君にも、最後の方ではそのセリフに納得させられたりしました。主人公をはじめとして癖強めな人達がやり合う中で、徐々にそれぞれが本音に近づいていくのを、我が身を振り返りながら見守りました。読み返す度に気付きを得られそう。購入して良かったです。
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  • 俺が好きなど嗤わせる【コミックス版】

    里つばめ

    作者買いです
    2023年12月23日
    俺が好きなら跪けのスピンオフということで、本編でとてつもなく存在感を発揮していた色気ダダ漏れ神谷次長と無精髭のムサイ梶次長のお話。里先生の作品はいくつか拝読していますが、毎回全然違うカップルのお話で魅せて下さるので驚きます。今回のお話は付き合うことに消極的な受けに攻めが猛アプローチするという点で本編カップルと同じですが、全く異なる感触をもってしまう不思議。人生の酸いも甘いも経験したちょっと大人の二人の恋。ガチで攻めてぶつかり合えた若い頃と違い、行動の動機が守りに入ってるところに、中年っぽさを感じました。梶は男が惚れる男って感じで、分かる人には分かるタイプのイイ男。今まで読んできた里先生の作品の攻めの中で、私は梶さんが一番カッコいいと思いました。神谷はそんなデカイ器の男にピッタリなパートナーだなと思います。
  • 俺が好きなら跪け

    里つばめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2023年12月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ G aps シリーズとは全然雰囲気の異なるお話ですが、コレもめっちゃ面白い!受けの松田がとにかく良い!ギャップ萌えってこういうことかと改めて思い知らされました。松田は加藤が大嫌いだけど、初めから意識しまくり執着しまくりなところ、はたから見れば大好きなんだなとしか思えないヤツですよね。先輩すら小バカにしている松田。能力を認めライバル視している相手が告白してきたら嬉しくなるのも頷けます。狙った女性に告白されるより、ずっと嬉しいんだろうな。口や態度では加藤を拒絶していても、最後まで「満更でもない」という気持ちが漏れでていて、そんなところも可愛いなと思いました。リテイクのラストの加藤のセリフには、「これで完璧に落ちたな」と察して、一人でニヤニヤしちゃいました。そして、メインの二人の傍らで、凄まじい色気を放ち存在感を残していた神谷次長。正直気になって仕方なかったのですが、梶さんとのスピンオフがあると知り歓喜したのは言うまでもありません。里先生って、どこまでも読者の期待に応えて下さる。ありがたや~。
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  • 風待ち休暇

    里つばめ

    作者買いです
    2023年12月21日
    短編集はどうしてもその短さ故に、読後は物足りない気持ちになることが多いので、作者買いでなければ手を出さないようになりました。今回も作者買いでしたが、読んでビックリ。何この満足感!4話収録されていましたが、全て異なる設定で登場人物の性格も被っておらず、それぞれ新鮮な気持ちで楽しめます。長編ならここから始まるというところで終わっていますが、描かれなかったその後が目に浮かぶようで、物足りなさを感じません。妄想がはかどるのは、各キャラの性格が読者に十分伝わっているからでしょう。付き合うまでのモダモダを描きつつ、人物の人となりを読者の中で確立させてくれるので、里先生の作品は読みやすいのかもしれないなと思いました。短い中でも伝えきる、里先生の凄さを改めて感じました。あと、表題作の「風待ち休暇」の続きだけ、最後に収録されていて、読めないものと思い込んでいただけに、少しでもその後が読めて嬉しかったです。
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  • 未熟な僕らの卒業論文

    里つばめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2023年12月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 里先生の作品はリーマンの色気ムンムンお仕事物語の印象が強烈ですが、そうじゃないものも良作ばかりだなと思いました。今回は理系大学生の親友同士のお話で、グダグダ思い悩む主人公大輔と、竹を割ったような性格の旭の対比が鮮やかで、学生らしい若さも相まって眩しかったです。これほど対照的な性格だと、恋愛関係なくても惹かれ合いますよね。自分にないものを求めてしまうのが人の性です。折に触れて想いが溢れてしまう大輔に、最初はつれない態度だった旭が突然その想いを受け入れた時は驚きました。でも、考えてみれば自然なことで、旭にとっては自分の気持ちが恋情か友情か、関係が恋人か親友かなんて気にならないんだと思います。そこにこだわる人なら、空気読んだり角のたたない言い方もできるはず。大輔以外に親しい人がいないって、つまり大輔だけで足りているってことなのでは?多分、旭にとっては大輔が傍にいることが何より重要で、大輔が恋人になりたいと本気で思っていると分かったら、ごちゃごちゃ考えず受け入れるんだろうなと。主人公が心の中では饒舌なので、旭は何考えてるかわからない感じで読み進めていたので意表をつかれましたが、旭は説明がいらないくらい最初から大輔しか見てないし、凄い近距離で付き合っているし、目的も明白でした。むしろ曖昧だったのは大輔の方。私が一番グッときたのは初めてのエッチで、ごく自然に攻守交代しているところ。どっちがどっちかなんて気にならないところ、旭だなぁって思いました。描き下ろしもすごく良かった!この二人らしいやり取りに萌え、極めつけが「今日はお前のコレ出番無しな」って旭のセリフ。ホントにこの二人最高だな~。
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  • Evergreen Days

    里つばめ

    作者買いです
    ネタバレ
    2023年12月21日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 一冊まるっと表題作、設定や展開は王道なのにそれを感じさせず、とても読み応えがありました。主人公と先生の心情が丁寧に描かれていている上に、周りの登場人物達が二人の人となりを補足してくれるので、より分かりやすかったです。主人公は他の子よりエネルギーが強い子なのか、もて余して鬱屈してるところに、先生に恋をして突破口を見つけちゃった感じ。行くとこまで行かないと止められない!校則違反も見逃すくらい面倒なことは避けたい性分の先生は、言い訳しながらなかなか主人公の想いを受け入れず拒んでいて、そこがまたリアルに感じました。一方で、凄まじいエネルギーをぶつけられ、最終的にはほだされ付き合っちゃうところも先生らしいなーと思います。描き下ろしのsuger daysが秀逸で、二人の性格や関係性が滲み出てる感じがして、すごく良かったです。
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  • DOGS

    里つばめ

    スピンオフということで読んだけど
    2023年12月20日
    Gapsの二人も大好きだけど、こっちの二人も最高でした。同じ世界線の話なのにガラッと趣が変わってスピンオフとは思えない!Gapsは日常だけど、こちらは一般人から見たら非日常。警察官ならではの様々な事件が絡んでくるので、別のドキドキも楽しめます。攻めの斎藤が金も名誉も立派な実家も何でも持ち合わせている上に、頭も良くて器用に何でもできちゃうタイプ。そんな持てる者の人生を歩んできて、プライドも尋常じゃなく高くて思い通りにならないとぶちキレるような男が、何にも持ってない矢島を好きになっちゃうんだもんな~。加えて斎藤に対する矢島の態度が完璧で百点満点なんですよね。計算じゃないところがまたね~。斎藤と矢島の性格故か、セリフやモノローグ以外の描写から二人の心情を読み取ることが多いけれど、そこが心を鷲掴みにされる理由の一つかもしれないです。妄想をかきたてられるといいますか。あー、このシリーズ永遠に続いてほしい!
  • GAPS

    里つばめ

    無限ループ
    2023年12月20日
    初めて読んだときは、最後まで読んで、そのまま最初からまた読むの繰り返しがエンドレスで続いてしまって、誰か止めて~ってなってました。あまり従順ではないけれど、とりあえず気持ちはワンコな年下攻めと、自己肯定感は低めなのに他人を受け入れる器がデカイ母なる大地のようなオジサン受けの組み合わせが私の性癖に刺さってしまいました。でも、攻めの片桐のキャラも良いのですが、私は受けの長谷川の魅力に骨抜きにされ、ぶっちゃけ私が長谷川さん抱きたいです。脇役の矢島君がまた良い男で、彼のスピンオフまであって、里先生どこまで最高なんだろう。ラフなタッチで描かれる淡々としたリーマンの日常。それだけで何故かエロく見えてくるのに、里先生の手によるHシーンは間近で眺めているような臨場感があり、こっちまで熱くなってしまいます。しかも百戦錬磨の片桐さんにも屈せず、長谷川さんは数巻に渡り貞操を守り抜いたので、読んでいる私としては待ちに待ちまくった展開な訳で、そりゃ熱くもなるってものです。Dogsの方は続巻出たので、次はこちらで出ないかなと期待しています。待ち遠しい!
  • きみが心に棲みついた 新装版

    天堂きりん

    自分の課題と向き合う強さ
    2023年12月19日
    久しぶりに読み返して、やっぱり良い作品だなと改めて感じました。全てが噛み合わなくて主人公がドツボにはまっていく様子は、読むのにエネルギーを使うのでしんどいけれど、どん底まで落ちても諦めず、そこから浮上していく姿は感動ものでした。八方塞がりで絶望しかけている人なら励まされると思うし、辛い状況を乗り越えた経験のある人なら、すごく共感できると思います。途中読み進めるのを断念しそうになっても、是非最後まで読んでほしいです。ちなみに最後というのは、この新装版のではなく「きみが心に棲みついたS」の方の最後です。こっちは中途半端に終わっていますが、Sの方に続いて完結となります。
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  • #BLごっこ【電子限定描き下ろし付き】

    ニクヤ乾

    作者買いです
    2023年12月18日
    BLごっこっていうの、実際にあるのかな?SNSやらないので疎いのですが、初めて読む面白い設定だなと思いました。きっかけはB L ごっこでしたが、それ以外は至ってオーソドックスな展開。なのにやっぱり面白い! ニクヤ先生の作品は3作目ですが、登場するどのカップルも、なんかこの二人の関係性良いな~、羨ましいな~って思ってしまう。不思議ダナー。どっちかというと、攻めの愛の方が深くて重いからかな?気楽にサクサク読めて、読後はキュンで満たされるお話ばかりなので、ニクヤ先生の作品は読みやすいです。
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  • 抱けるドラッグに一級カレシを

    ニクヤ乾

    作者買いです
    2023年12月18日
    抱けるドラッグに一級彼氏とは、またまた言葉のセンスに唸らされました。タイトルが秀逸。このタイトル通りの仕事をした橘さんが一番の功労者ですね。一級ってつくと、国家資格のように感じますが、ちょっとやそっとじゃ一級彼氏と認めてはもらえないだろうからレア度が違う。全体に散りばめられたユーモアで、厳しい展開でも安心感があって、最後まで楽しく読めました。「社内恋愛の~」の受けとは違うタイプの甘えベタな甘えん坊受けでしたが、これも良かったです。彼の幸せを全力で応援したくなるし、非常に母性本能をくすぐられました。なんか赤ちゃんみたいなのに遠慮がちに愛を乞うところがたまらないです。毎回巻末にキャラ設定がオマケでついているのですが、北野辰臣の説明に、「なんだかんだで受けになるタイプ」ってあって、激しく同意してしまいました。幼稚なだけで根っからの悪い奴じゃないんだろうなって思います(笑)
  • 社内恋愛の相手は俺ですけど?

    ニクヤ乾

    こんな二人が理想かも
    2023年12月17日
    ビ●チだけどビ●チ過ぎない、品のよさと知性を感じさせながら子供のように甘えてくる年上の受け。加えて、この体つきのエロさよ。なんだこの受けは!けしからん!最高だな!て思いました。そんな受けにピッタリの攻めも良い仕事をしていました。具体的に上手く表現できないけれど、この二人の関係って、なんか良いなーって思いました。憧れるし、羨ましい。割と淡々としてて大きな波乱はないけれど面白かったです。小さな波乱があっても、結局ゴチソウサマデシタって感じで始終甘いお話でした。個人的に一番印象的だったのは、甘えん坊将軍の27歳児というワードです。目から鱗が落ちました。あと、受けの背中からお尻にかけてのラインに目が釘付けになりました。攻めが心配するのも頷けます。
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  • サービスタイムが終わらない【おまけ付き電子限定版】

    山田2丁目

    もうちょっと読みたかった~~!
    2023年11月24日
    鬼のお話がとても面白かったので、作者様の他の作品も読みたくなり購読。ラッキースケベがきっかけで始まる恋なんて、ありそうでなかった設定だなと思いました。独特なのは、それが体質というところ(笑)わざとじゃないかと疑われ続けた南部君にとって、暖かく受け止めて許容してくれる吾野さんが神様に思えるのも頷けます。両片思い中の二人が焦れったくて可愛くてキュンキュンしました。すごく面白かったけど、吾野さんのキャラがフワッとしていて物足りなかったかも。その後の二人が読めたら嬉しいです。
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  • 食べてもおいしくありません

    山田2丁目

    5巻まで読了
    2023年11月23日
    独自の設定が大枠も細かい部分もとにかくめっちゃ面白いです。食う食われるの関係って、なんかエロくて良いですね!設定だけでも笑えるところが沢山あるけれど、人物同士の会話が最高で、小さな手書き部分まで熟読してしまいます。脇役の子達までみんな揃って良い奴で、彼らの会話を読んでいるだけでも癒されます。
    受けの日和がチョロいくせに素直じゃないし、攻めの穂高も最初は鬼の本能から手を出した感じで、なかなか恋人らしい甘い空気は流れないけれど、そこが他の作品にはない独特な面白さな気がします。新刊も楽しみです!
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  • アシガール

    森本梢子

    笑いすぎてお腹痛い!
    2023年11月22日
    この作品は誰にでもオススメできる傑作だと思います。少女マンガの主人公って、恋をしてそれなりにキラキラしてる女の子が多いと思うのですが、唯は違う。怖いくらいギラギラしてます。恋は盲目と言うけれど、若君のこととなると何も見えなくなって、猪突猛進。でも全てを捨て去っても若君を守ろうと奮闘する姿は、とても健気なんですよね。絵柄も青年マンガっぽいし、ひたすら笑いをくれるだけかと思いきや、ラブストーリーとしてのときめきもしっかりもらえます。出てくるキャラも最高で、みんな大好き!読むと元気をもらえるし、男女問わず楽しめると思います。
  • 甘く痺れて抜けない、義兄の棘【単行本版】

    八重代七瑚

    3巻まで読了
    2023年10月25日
    単話の方で試し読みしてこちらで購入。ただのドロドロした昼ドラ展開なのかと思いきや、めっちゃ面白い!絵柄が少し不安定な感じがしますが、心を込めて丁寧に描かれているのが伝わってくるので気にならず読み進められました。特に表情から伝わってくる感情がすごく良いです。何よりストーリーが良く作り込まれていて魅力的。回想という形で過去と現在が入り乱れるので最初は混乱しますが、読み直すと駿と瑠璃の気持ちの変遷が見えてきてギュンギュンさせられました。駿の他の人には無関心なのに、瑠璃にはネチっこいところがツボで、恋愛になる前から瑠璃には誠実で気にかけてあげていたところも良かった!無感情に見えて、本来は優しい子なんだろうな。他にも、あおちゃんや野水さん、義理の母の翠、、、物語を面白くしてくれるキャラが脇を固めていて、これからが楽しみでなりません。こんな風に楽しませてくれるTL作品は初めてです。
  • 笑わなくていいのに【合冊版】

    相野ココ

    男前な攻めが素敵
    2023年9月28日
    南君読んで相野先生の他作品も読みたくなり購読。南君がめっちゃ良かったので、どうかなーと思いながら読んだのですが、これも良かった!南君のは割と特殊な設定でしたが、こちらはとてもシンプルで構成要素はありきたりなのに物凄くグッときました。登場人物の心情が表情やセリフからビシビシ伝わってきて、押したり引いたりの具合もいい感じに私の心を揺さぶってくれて読み応えがありました。攻めも受けもお人好しで根っこは似ている二人だけど、ちょっとずれてて放っておけない感のある受けに、頼れる兄貴みたいな攻めがピッタリ合ってて最高でした。脇役達の使い方も絶妙でした。絵柄が最近のより少しあっさりめ?な感じがして、私はこの方が好みかもしれない。相野先生の過去作を色々読んでみたいです。
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  • 南くんはその声に焦らされたい【コミックス版(電子限定20P有償小冊子付)】

    相野ココ

    バッターン!
    2023年9月27日
    これはもう、読んだ時はびっくりしゃっくりでしたよ。新しい世界の扉が凄まじい音をたてて開きました。何これ、何コレ、何kore。。。エロすぎる。何故こんなにエロいんだ?それは恐らく相野先生の描写力なんでしょう。思いが通じあってからのエッチも良かったけれど、両片思いの時にしていたことの方が私にとっては衝撃のエロさで、エロい描写って奥が深いなとしみじみ思いました。ちなみに、レビューのタイトルは、新世界の扉が開いた音でもあり、有償小冊子を読んで酸欠で私が倒れた音でもあります。自分の性癖に刺さりすぎたのか、呼吸すら忘れました。2巻はR18版を買おうと思います。
  • 恋する鉄面皮【電子限定おまけ付き】

    中田アキラ

    4巻まで読了
    2023年8月23日
    淡々と進んでいく地味な感じのお話だなぁと思いながら、無料立ち読み分で終わらせようか迷いましたが、何となく惹かれるものがあってそのまま購読。この何となくって大事だなと痛感しました。すごく良かった!エチはさっぱりとした描写だけれど、登場人物達の心理描写に重点が置かれているので読み応えがありました。二組のカップルの話なのですが、この四人の関係性がすごく素敵で憧れます。四人とも魅力的ですが、私は夏目が好きだなぁ。こんなお嫁さん欲しいと思わせる、斎藤さんとは違う女性的な包容力を感じます。斎藤×富田カプもすごく良いのですが、私はベッドの上でしか見られない艶やかな夏目がもっと見たい!6巻は北川×夏目メインの巻だと良いな~と思っています。ちなみに、斎藤さんに関しては、意表を突かれて余裕を無くすところが見たいです。全てお見通しって感じで何にも動じないからつまらないんですよね。富田さんには無自覚に色々やらかしてもらって、斎藤さんを翻弄してほしいです。
  • 愛しのXLサイズ

    重い実

    15巻まで読了
    2023年8月22日
    しばらく読まないと禁断症状が出るくらいこの独特な面白さにハマってます。なのに私の語彙力の無さから、その良さを言葉で表現できないもどかしさ。とにかく一冊読んでみてとしか言えないという。ただ先生の個性が一番バランス良く配されて、絶妙な面白さに仕上がっているのがこの「愛しのXLサイズ」のような気がします。ストーリーも絵柄もキャラもエロも笑いも、全ての配分が絶妙で癖になります。続刊がちょいちょい出るのも嬉しいです。正直なところ、重い実先生の作品は毎回似たような感じではあるのですが、初めて買うならこの作品をオススメします。
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